2011年(平成23年)の日本新語・流行語大賞です。1984年から開始され、この年は第28回に当たります。

前年・翌年と、すべての年の流行語についてはこちらをご覧ください。

2011年は東日本大震災という未曾有の大災害が起きた年。関連するワードが多数ノミネートされたり入賞となりましたが、発表の際は「放射線量」「瓦礫」「内部被爆」など震災の直接的なワードは不謹慎だとの声が多数挙がる事態にもなりました。

印象的だったのはトップテンの「こだまでしょうか」とノミネートの「ぽぽぽぽーん」で、これらは共にテレビCMで流れているACジャパン公共広告です。
震災直後で多くの企業がCM出稿を控えるなか、差し替えでACジャパンのCMがかなり頻繁に流れていたのを覚えています。
なお1985年流行語の大衆賞を受賞した「投げたらアカン」もACジャパン(当時:公共広告機構)のCMです。

公式サイトの発表はこちら「2011年の日本新語・流行語大賞」と、「2011年ノミネートワード」です。

2011年の日本新語・流行語大賞

2011年 年間大賞

なでしこジャパン 「なでしこジャパン」はサッカー日本女子代表の愛称で、この年開催された「2011 FIFA女子ワールドカップ」で優勝し日本中を驚かせました。
FIFAが主催したサッカー世界大会での優勝は男女含め日本初の快挙で、フェアプレー賞も受賞、MVPと得点王には澤穂希さん。
優秀選手の目安となるオールスターチームには同じく澤さん、海堀あゆみさん、宮間あやさん、大野忍さんら4名が選ばれるなど大活躍ぶりが伺えます。
チームには団体初となる国民栄誉賞も贈られました。
受賞者は日本サッカー協会会長・さん、代理で女子委員会委員長・上田栄治さん。

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2011年 トップテン

東日本大震災により人々の絆やつながりが大切であることが再認識された年でした。
受賞者は「今活動しているボランティアを含め日本国民、そして海外から日本を応援くださったすべてのみなさま」という事で名目上は「なし」です。
なお日本漢字能力検定協会が毎年発表している「今年の漢字」はこの年「絆」でした。
スマホ これまで使われていた携帯電話、いわゆるガラケー(フィーチャーフォン)に比べ、パソコンに近い機能を持つスマホ(スマートフォン)が本格的に広まり「スマホ普及の年」と言われました。
きっかけは2008年7月11日に日本でも発売されたApple社の「iPhone 3G」で、当時大きな話題にはなったものの購入しているのはガジェット好きな一部のユーザーに限られている状態でしたが、それからモバイル用OSのアンドロイドを搭載したスマホも次々と発売され、携帯電話の販売台数の半分以上を占めた月もあるなど爆発的な広がりを見せました。
受賞者はNECモバイリング株式会社マーケティング戦略本部 セールス事業推進本部マネージャーでスマホ専門店「AND market 霞が関」の西川征一さん。
どじょう内閣 当時政権だった民主党の代表選で野田佳彦さんが演説で「どじょうが金魚の真似をしてもしょうがねえじゃん。ルックスはこの通り。赤いベベを着た金魚にはなれません。泥臭く国民のために汗をかく、どじょうの政治をとことんやり抜きたい」と発言、その後当選し「どじょう内閣」と呼ばれました。
ただこのネーミングは本人が積極的に命名したのではなく、国民の皆様の評価で名付けて欲しいという旨の発言もしています。
後に相田みつをさんの詩「どじょうがさ 金魚のまねすることねんだよなあ」から引用したものと報道されています。
受賞者は野田佳彦さん。
どや顔 「いい事言った」「おもしろ事言ってやった」「やり遂げた」と思った人が見せる「どうや今の良かっただろう」というような「得意顔」「したり顔」「自慢げで誇らしいような表情」などを指します。
関西弁の「どうや」を略した形。
2000年代中盤頃からはすでにネットで広まりつつあり、この年はテレビや雑誌でもよく使われるようになりました。

発祥は明石家さんまさんと言われており、それをお笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志さんがテレビや芸人仲間の中でよく使うようになり広まったという説が濃厚です。
受賞者については「受賞者辞退」と発表されています。

帰宅難民 災害などが発生した際に、交通機関が麻痺して帰宅出来なくなってしまった人たちを指す用語で、この年発生した東北地方太平洋沖地震では首都圏を中心に約500万人とも言われる帰宅難民者が発生しました。帰宅困難者ともいいます。
受賞者は帰宅難民を代表して小川さんという方です。
こだまでしょうか 「遊ぼうっていうと 遊ぼうっていう」「こだまでしょうか いいえ だれでも」これは東北地方太平洋沖地震後からテレビCMで頻繁に流れたACジャパンの公共広告のフレーズで、印象に残る詩とかなり流れていた事から話題になり、ネットでは詩の意味を探ったりパロディーも作られるなどされました。

この詩は大正から昭和初期にかけて活躍した詩人「金子みすゞ」さんの作品「こだまでしょうか」(原題:こだまでせうか)からで、CMの影響により金子みすゞ記念館の入場者数が急増し2011年5月には100万人を突破するなどの現象がみられました。
受賞者は公益社団法人ACジャパンの事務局次長・クリエイティブディレクターの尾形敏朗さん。

3.11 東北地方太平洋沖地震の別名で「3.11」が使われるようになりました。2011年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件が「9.11」と呼ばれるようになったことから由来しています。
受賞者は東日本大震災・原発事故の対応に当たった当時の内閣官房長官・枝野幸男さん。
風評被害 福島第一原子力発電所事故で大量の放射性物質が拡散した事から、福島県や福島県民への風評被害が深刻化している事が判明。
当たり前の事ですが何の落ち度もない県民に対し避難先でのいじめ・偏見・差別や「放射能がうつる」という全くいわれのない中傷、対象は人だけでなく放射線量検査をパスし安全な福島県産の農作物などにも及んでいます。受賞者は無しです。
ラブ注入 お笑い芸人・整体師の「楽しんご」(たのしんご)さんの持ちギャグ「ドドスコスコスコ(3回繰り返すし、最後に胸の前で手でハートマークを作り) ラブ注入」が大受けし、テレビのお笑いやバラエティ番組で人気に。
同じくノミネートしている「おねえキャラ」の1人に数えられ、R-1ぐらんぷり2011で準決勝進出、「楽しんごとあやまんJAPAN」として「ドドスコぽいぽいのうた」歌手デビューや、連続ドラマ出演など大活躍しました。

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2011年 ノミネート

あげぽよ もともとネットでは「最高」「最低」をそれぞれ「アゲ」「サゲ」と表現しており、気分が良かったりテンションが高いときは「アゲ」、反対に気分が落ち込んでいたりテンションが低い状態を「サゲ」というように表現していましたが、これの可愛い言い方として「あげぽよ」と「さげぽよ」が使われるようになりました(「ぽよ」の部分は特に意味のない言葉)。

この可愛らしい言葉の響きが女子中高生やギャルに受けてテレビや雑誌などでも紹介され広く知られるようになりました。
ギャル系のファッション雑誌eggなどで活躍しているのファッションモデル・川端かなこさんが使い始めた言葉です。

あとは流れで 現役の大相撲力士が八百長を行っていた事が発覚し「大相撲八百長問題」と呼ばれました。
前年の2010年に「大相撲野球賭博問題」が起き、関与した力士の携帯電話を証拠として押収しましたが、その中にあったメールに八百長に関する生々しい金銭の話や取組についての内容が書かれていました。
特に清瀬海と春日錦のやり取り「立ち合いは強く当たって流れでお願いします」という決定的な一節は大相撲ファンだけでなく一般視聴者にも大きな衝撃を与ました。
アフター4 アフター4の「4」は午後4時を意味する言葉で、仕事終わりである16時以降の時間帯に遊びや趣味や習い事など有意義な時間を過ごすという意味合いで使われます。
原発事故による夏場の節電対策で、始業/終業の時間を1時間早める「サマータイム」を導入する企業が増加した事により注目されました。
以前から使われている「アフター5」(アフターファイブ)が語源となっています。
安全神話 日本の原発は安全で事故などは絶対に起こらないという考え。福島第一原子力発電所の事故で完全に崩れ去りました。
ただ、過去にも原発事故は起きており、安全神話はすでに崩壊していたという声も多々あります。
一定のメド 民主党の菅直人首相に対する同党内からの退陣要求「菅おろし」が起こり不信任案が出されます。
これに対し菅さんが「私としてこの大震災に取り組む、このことが一定のめどがついた段階で、私がやるべき一定の役割が果たせた段階で、若い世代の皆さんにいろいろな責任を引き継いでいただきたい。」と発言し、不信任案を否決するよう呼びかけました。
目処が付いたらやめるのであれば…と思ったのか否決されました。
ただ、この「一定のめど」というフレーズの曖昧さや具体的な時期も示せていないことから「一定の目処は一体いつなのか」と話題に。
サラリーマンが何かを誤魔化したいときなどに「一定のメドが付いたらね」というように真似る声も聞かれました。
エダる 当時政権の民主党・枝野幸男さんが、時間を問わず東日本大震災の状況をリアルタイムで会見で伝えていた事から由来した言葉で、寝る間も惜しんで働いたり、睡眠をとらずに何かすること、徹夜することなどを意味します。
SNSなどでは「何時寝てるんだろう」とか「枝野寝ろ!」「枝野寝て」という心配する声が多数挙がりました。
エンディングノート 自らの死に備え、相続であったり病気になった際の対応、財産や貴重品をどう扱って欲しいか、家系図や最後の言葉などを書き留めておくノート。
判断力を失う前に自身の意思を残しておいたり、死後に自分の望まない事態にならないようにするためや、残された家族や親族などへの負担を減らす等が目的。
砂田麻美監督のドキュメンタリー映画「エンディングノート」が話題になり注目されたワード。
おかわり君 埼玉西武ライオンズ所属のプロ野球選手・中村剛也(なかむらたけや)さんの愛称で、好きな言葉として「おかわり」を挙げた事から付けられました。
この年は48本のホームランを打ち、本塁打王と打点王、オールスターゲーム出場でMVP、ベストナイン、通算200本塁打達成、と大活躍。
テレビアニメ「クレヨンしんちゃん」にも本人役で出演しました。
推しメン 「イチ推しのメンバー」を略した用語で、特にAKB48などのアイドルグループで自分が応援しているメンバー、お気に入りを指します。
この年AKB48がオリコン週間シングルランキングで女性グループ初の4曲同時TOP10入したり、「フライングゲット」日本レコード大賞、NHK紅白歌合戦に3年連続4回目の出場など大活躍し注目されたワード。
推しメンを変える「推し変」という派生語も生まれました。
お嬢様の目は節穴でございますか この年テレビドラマ化もされた東川篤哉さんの推理小説「謎解きはディナーのあとで」の中で主人公の宝生麗子に仕える執事兼専属運転手・影山が言う台詞「失礼ながらお嬢様、ひょっとしてお嬢様の目は節穴でございますか?」から。
おねえキャラ 女性の心を持つ男性の事で、はるな愛さん、IKKOさん、マツコ・デラックスさん、楽しんごさんなど様々な「おねえキャラ」がテレビをのバラエティ番組を中心に大活躍しました。

なお、関連用語としては2007年にはお姉のIKKOさんが「どんだけぇ~」でトップテン入り2008年には「オネエマンズ」がノミネートされています。

瓦礫 東日本大震災によって崩れた建物の残骸や様々な廃棄物である「瓦礫」(がれき)。
瓦礫の処理をどうするかで川崎市や大阪市など全国の処分地が候補に挙がるものの、放射性物質を含むとのことで付近の住民の反対もあり、選定が難航しました。
がんばろう日本  東日本大震災による復興を被災者だけでなく日本国民が一丸となって行っていこうというスローガン。
君、きゃわゆいネェ お笑いコンビ・オリエンタルラジオの「藤森慎吾」さんが使う持ちネタで、当時はチャラ男キャラでテレビに出る事が多く、綺麗な女性がいると「君、かわうぃーね!」というセリフを独特のリズムで言う流れがよく見られました。
流行語の綴りは「君、きゃわゆいネェ」ですが、実際の発音は「君、かわうぃーね!」という方が近いかと思います。

なお、藤森さんは同じくこの年のノミネート語である「あげぽよ~」もよく使っていました。

計画停電 東日本大震災による発電所の被害の影響で電気の需要超過が予想された各電力会社では、地域を区切って順番に停電させる輪番停電(計画停電)が行われました。
鉄道のダイヤが乱れたり、計画停電の対象除外されなかった病院があったり、デパートやスーパーでは一部商品が販売停止されるなどの混乱が見られました。
原子力ムラ 「原子力ムラ」または「原子力村」は、原子力発電事業で繋がっている「産(業界)・官(国や自治体)・学(大学や研究機関)」の関係者で構成される集団を指し、揶揄や批判を込めた呼称。
癒着であったり利権が絡んでいる特殊な関係性であったり、閉鎖性・排他的な特徴があるため「村社会」に準え「ムラ」と表現しています。
テレビや雑誌などマスコミに取り上げられ広まり注目されました。
災後 第二次世界大戦が終わった時の「戦後」、そして東日本大震後を「災後」とし、時代の転換点と捉えた用語。
政治学者で東京大学名誉教授の御厨貴さんが考案した造語。
2011年11月には同氏著書の『「戦後」が終わり、「災後」が始まる。』(アマゾン)という本も発売されています。
再生可能エネルギー 福島第一原子力発電所事故より原発に頼らない発電として「再生可能エネルギー」が連日テレビや雑誌などで取り上げられ議論されました。
石油や石炭などのエネルギー資源を使った発電は再生できず有限なのに対し、太陽光、風力、波力・潮力、流水・潮汐、地熱、バイオマス等の再生可能エネルギーは繰り返し且つ半永久的に共有出来る発電とされます。
それぞれ長所や短所があるうえ、簡単には原発をなくせない事情も絡み2018年時点でも議論が続いています。
シーベルト 身体が放射性物質による被曝の影響を受けた大きさを示す単位。
福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の報道の際によく使われたフレーズで、テレビやラジオや雑誌で連日耳にすることとなり広まった用語。
他にも放射性物質の量を示す「ベクレル」や、吸収線量の「グレイ」も使われました。
自粛 東日本大震災以前にも何かしらの震災が起きるとイベントであったり各種催しを中止するなど、何かと「自粛」する事が多かったものの、この年は「自粛」は何時までなのかやその程度にも注目が集まりました。
東日本大震災以降、SNSからは明るい話題が少なくなり、その中で何で明るい話題であったりイベント開催の告知を行うと「不謹慎」だと一斉に叩かれましたが、数ヶ月経過してもそういった声が根強く残っており、一体いつになったら自粛をやめるのかや、過剰な自粛は復興を妨げるという声も見られました。
ジャスミン革命 チュニジアで起きた革命の事で、露天商の青年モハメド・ブアジジの焼身自殺をきっかけに広まった民主化運動・革命で、名称については同国を代表する花の名前から由来しています。
当時のベン・アリー大統領は23年の長期政権で一族による腐敗が進み、国民の不満が高まっていたことが背景にあり、Facebookを中心としたSNSでの情報交換が大きく貢献したことが知られています。

なおこのような流れはエジプトやリビアなどアラブ諸国にも大規模反政府デモが広まり、この一覧の流れは「アラブの春」と呼ばれました。

また、中華人民共和国ではこの革命に触発された市民が中国版ツイッターとも呼ばれる「微博」(ウェイボー)を使い「中国ジャスミン革命」を計画しますが、中国当局によるネット検閲や武力による鎮圧で大きな流れにはなりませんでした。

除染 放射能汚染が起きた際にそれらを除去するのが「除染」です。
福島第一原子力発電所事故の影響で放射性物質の付着した服(人体)や土壌・樹木を除染する様子がニュースなどでもよく報道されました。
節電 東北地方太平洋沖地震による揺れや津波による被害や、安全審査のため、長期間にわたり各地の発電所が停止する事態となり、被災地以外でも電力不足による大規模停電の恐れがあるとして節電が呼びかけられました。
一定地域ごとに停電を行う「輪番停電」などの計画停電が行われたり、電力各社が需給予測を示した「でんき予報」なども発表されるなど全国的に節電が求められることに。
ゼロではない 3月11日に起きた東北地方太平洋沖地震での原発事故で、冷却機能を失った核燃料の温度が上昇したため海水を注入しての冷却が行われていましたが、この海水注入について原子力安全委員会委員長の班目春樹さんが「再臨界の可能性はゼロではない」と発言。
曖昧でどの程度なのかわからないこの表現が話題になりました。
想定外 東北地方太平洋沖地震による原発事故に対し、東京電力はここまで大きな津波は「想定外」と説明。
テレビやラジオなどでも、東日本大震災は様々な側面で「想定外」な事態だったことが報道が頻繁にされ耳に残る用語になりました

なお「想定内」も2011年にノミネートしており、「2005年の流行語」では当時ライブドア社長の堀江貴文さんが「想定内」で年間大賞を受賞しています。

ソーシャルメディア 誰もが参加でき、そのユーザー達が情報を発信しながら作り上げるメディアの事でTwitter、Facebook、YouTubeなどが該当します。SNSやその中にあるコミュニティや集合体を超えた情報発信の概念。
この年の東日本大震災において情報交換や安否確認であったり、テレビで得る情報よりもよりピンポイントな情報伝達にソーシャルメディアが利用され注目されたワード。
なおFacebook創設者のマーク・ザッカーバーグさんらを描いた映画「ソーシャル・ネットワーク」が1月に公開(アメリカ公開2010年)されています。
タイガーマスク プロレス漫画「タイガーマスク」の主人公の名前「伊達直人」名義で、児童養護施設などに寄付を行う活動が東北地方太平洋沖地震以降に多く見られた事から、「タイガーマスク運動」と呼ばれるようになりました。
特定の人物1人ではなく、ある意味匿名である「伊達直人」を名乗り全国で様々な方が行っています。
もともとは2010年から始まっており最初に行った方は30代男性で群馬県中央児童相談所に寄付をしています。
ただちに 東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故で、当時政権を担っていた民主党の官房長官だった枝野幸男さんが会見を行った際に言ったフレーズです。
放射性物質の問題に対し「ただちに健康に影響はない」とか、悪い情報が入って来た際にも「直ちに影響はない」という内容の発言を行った事から、「ただちに〇〇ない」という言葉が注目されました。
脱原発 東北地方太平洋沖地震により起こった福島第一原子力発電所の事故により放射性物質が拡散、原子力発電所による発電を撤廃するという考え「脱原発」が叫ばれました。
代替の電力源としては、同じく流行語にノミネートされている「再生可能エネルギー」の太陽光や風力などが候補に挙がりました。
建屋 東北地方太平洋沖地震の翌日3月12日に福島第一原子力発電所1号機の原子炉建屋が水素爆発を起こして大破。
同月14日には3号機の建屋が大破、15日には4号機の建屋が損傷。
この様子は世界中に知れ渡ることとなり、原子炉建屋が連日リアルタイムで中継されました。
タブレット 「タブレット」は「タブレット型コンピュータ」「スレートPC」のように呼ばれる、スマートフォンをより大きくしたような板状の端末の事で、2010年にApple社から発売された初代iPadがヒットし普及するきっかけになりました。
スマホと同じように、他社からもアンドロイドOSを搭載したタブレット機器が次々と発売されるようになったことから2011年は「タブレット端末元年」と呼ばれました。
地デジ難民 2011年7月24日に、これまでの「アナログ放送」(地上アナログテレビジョン放送)から「地デジ放送」(地上デジタルテレビジョン放送)への完全移行が実施され、地デジに対応したテレビかチューナーを使用しないと、これまでのテレビを見ることが出来なくなりました。
地デジへの準備が整っておらず、テレビが視聴出来なくなってしまった人たちを「地デジ難民」と呼びました。
なお東日本大震災で被害の多かった3県は地デジへの移行は2012年3月31日に延期されています。
超円高 2011年3月17日に1ドル75円78銭の最高値を付け、その後も80円台推移するなどこの年は超円高となりました。
2000年代後半頃は一時期90円前後にはなったものの、100円付近で落ち着いている印象でしたが、なぜ震災もあった2011年にこれほどまで円高が進んだかの理由としてテレビだけでなくSNSでも様々な意見や声が挙がりました。
津波てんでんこ 東北地方太平洋沖地震で発生した津波は東北地方を中心に甚大な被害をもたらしましたが、岩手県釜石市では小中学生のほぼ全員に当たる3000人近い生徒が避難し無事だった事から「釜石の奇跡」と呼ばれるとともに、この地域で津波からの避難についての標語として使われていた「津波てんでんこ」も注目されました。
三陸地方では「津波起きたら命てんでんこだ」という教えがあり、「てんでん」は各自とか各々という意味で「こ」は縮小辞なので、「津波が来たら命は各々で守れ(避難する)」という意味。
東北魂 東日本大震災で大きな被害を受けた東北の宮城県出身である伊達みきおさんと富澤たけしさんのお笑いコンビ「サンドウィッチマン」が東北復興のために呼びかけた「東北魂義援金」や、テレビ番組「東北魂TV」、ラジオ番組「サンドウィッチマンの東北魂」であったり、東北の人たちの力強い復興の象徴として使われる言葉となりました(伊達さんは仙台市泉区出身、富澤さんは東京生まれでその後宮城で育ちました)。
年の差婚 これまでも年の差結婚について、ワイドショーなどで度々取り上げられてはいましたが、この歳は特に大きな話題となったのが、タレントの加藤茶(当時68歳)さんの、なんと年の差45歳という年下の女性と結婚した事で、連日ニュースやネット掲示板などでも賛否を巻き起こすことに。
他にもこの年は寺田農(68歳)さんの35歳差婚、堺正章(65歳)さんの22歳差婚などもありました。
トモダチ作戦 東日本大震災の救助活動や復興支援を目的としたアメリカ軍による作戦「Operation Tomodachi」(オペレーション・トモダチ)の事で、日本に対して陸海空から様々な支援が行われました。
日本語の「友達」から由来した作戦名。
内部被曝 空気中などに拡散している放射性物質を呼吸や皮膚(傷口)などから内部に取り込んでしまい被曝する事。
福島第一原子力発電所事故による放射性物質の内部被曝が福島県民、特に原発に近い地域の方々や滞在者達への影響が懸念され、ヨウ素131による甲状腺への沈着を防ぐため予めヨウ素剤を飲み飽和度を上げておく方法などが報道されました。
ノーサイド 当時首相だった菅直人さんが、民主党代表選について「選挙が終わればノーサイドで協力していくと皆思っている」と発言し、ワイドショーなどで「ノーサイド」という表現が話題になりました。
ラグビーの用語で試合終了を意味する「ノーサイド」は、試合が終わったら敵や味方なく皆仲間とう精神を表した言葉。
英語圏では「No side」は現在あまり使われず「Full time」が一般的。
美ジョガー 「美女」と「ジョガー」(ジョギングをする人)を組み合わせた造語で、女性向け雑誌「FRaU」(フラウ)発祥で、2008年頃からこの言葉が使われていました。
お洒落なランニングウェアや装備で美しく走る女性を指します。
前後の年からのジョギング・ランニングブームもあり注目されたワードです。
フクシマ50 東北地方太平洋沖地震により発生した「福島第一原子力発電所事故」により放射性物質が飛散している状況の中、被害を食い止めるために現地に残った50人の事。同原発所には作業員として約800人が従事しており、そのうちの50人です。
日本や海外のマスコミが「Fukushima 50」と呼び、被害拡大を防ぐための勇気ある行動と称賛し広まりました。
その後130人が加わり約180人に、さらに柏崎刈羽原子力発電所や子会社、関係者、東芝や日立製作所の人員も加わりました。
なおこの50名については氏名などは公開拒否され、特別手当などもなく働いていたとの報道がされています。
復興 東北だけでなく関東、日本全体で東日本大震災からの復興が大きなテーマとして取り扱われました。
テレビやラジオなどのマスコミだけでなく、ツイッターやSNSなどでも復興を目指す声が多数見られました。
6月には東日本大震災復興基本法が公布・施行、12月には復興庁が置かれるなど国としても復興に向けて本格的に動き始めました。
平成の開国 スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムで、当時の首相・菅直人さんがTPP(環太平洋パートナーシップ協定)への参加について、日本は第三の開国を目指すと表明したことからマスコミが「平成の開国」と報道しました。
第一と第二についてはそれぞれ江戸時代と戦後の開国を指します。
放射線量 福島第一原子力発電所起きた事故により放射性物質が放出され、東北周辺の放射線量の速報であったり、天気のニュースと共に放射線量も報道されるなど「放射線量」が大きな関心事に。
また放射線量を測る事が出来る「ガイガーカウンター」の品薄状態がしばらく続きました。
ホットスポット 言葉自体の意味は、局地的に活発であったり対象が集まる場所、何らかの値が高い場所、等を意味する英語Hotspotのこと。
この年に注目されたホットスポットは、原発事故による影響で局地的に放射線量が高くなっている場所の事。主に福島県や宮城県、埼玉県など近隣の都道府県の各地域が挙げられました。
ぽぽぽぽーん 東北地方太平洋沖地震後に頻繁に流れていたACジャパンの公共広告の中で歌われいる楽曲「あいさつの魔法。」の歌詞のフレーズ。
挨拶の励行がテーマとなっており「魔法の言葉で楽しい仲間がぽぽぽーん」という部分が視聴者に強い印象を与え話題になりました。
他企業がCMを控える状況だったため、テレビを見ていると1日目にするのと、未曾有の震災という状況の中、作品中に登場するキャラクターの笑顔であることからCMがトラウマになっているという声や、CMにまつわる都市伝説なでもネット上で見られます。
トップテン入りしている「こだまでしょうか」もACジャパンの公共広告です。
満身の怒り 7月27日、厚生労働委員会で行われた「放射線の健康への影響」に参考人として呼ばれた児玉龍彦さん(東京大学先端科学技術研究センター教授・東京大学アイソトープ総合センター長)が、原発事故における政府の対応について「わたくしは満身の怒りを表明します」と発言した事から。
マルマル、モリモリ 平均年齢6歳という芦田愛菜ちゃんと鈴木福くんのユニット「薫と友樹、たまにムック。」がリリースした曲「マル・マル・モリ・モリ!」のこと。
フジテレビ系列で放送されたテレビドラマ「マルモのおきて」の主題歌で、役名がユニットに使われています。
オリコン週間チャートで初登場3位を記録。
その可愛らしい振り付けや覚えやすいフレーズで話題となり、その後もCDや着うたフルが売れ続けロングヒットとなりました。
見せましょう野球の底力を プロ野球東北楽天ゴールデンイーグルスの選手・嶋基宏さんが、4月2日の東日本大震災復興支援の慈善試合前に行ったスピーチ『見せましょう、野球の底力を。 見せましょう、野球選手の底力を。 見せましょう、野球ファンの底力を。』から。被災地はもちろん日本中に勇気を与えました。
なおチームは3月3日から長期遠征であったため兵庫県で行われていた試合中に震災を知り、スピーチの日にもまだホームの仙台市に戻れない状態でした。
メルトダウン 3月11日の東日本大震災により福島第一原子力発電所事故でメルトダウンが起きますが、聞きなれない言葉に国民の不安が高まりました。
また当初はなかなか政府(当時民主党:現民進党)がメルトダウンを認めず、数ヵ月後に公表した事も追い討ちをかけました。
メルトダウン(Meltdown)は炉心溶融と呼ばれ、核燃料ペレットが自らの熱で溶け落ち、子炉圧力容器の底に溜まった状態になる事で、原子力事故において放射能汚染の可能性がある重大なプロセスの1つ。
実際にはメルトダウンよりさらに深刻な、燃料が炉心の底を突き抜けてしまうメルトスルー(溶融貫通)が起きていました。

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