「カニバリ」は、自社で販売している商品でありながら、お互いに競合関係となって市場を奪い合うような状態を指すビジネス用語で、「共食い」や「人食い」という意味がある「Cannibalization」(カニバライゼーション)が語源となっています。

例えば、同じチェーンのコンビニが近隣の地域に多数出店した場合、買い物する客数は変わらないわけなので、お店同士が競合することとなり、同じ会社でありながら一方のコンビニ店の売上が上がれば一方が下がる事になります。

このような状態を「カニバリ」とか「カニバってる」「カニバる」といいます。

以下のような使い方や表現があります。

  • これ完全にカニバってるよね
  • 今作ってる製品は1年前のものとカニバることになりそうだ
  • カニバリ要素が多いから何とかしないと
  • よく考えたら前回とカニバったなあ
  • うわーカニバリしまくってた
  • カニバリ対策しないとこの先まずい
  • もしカニバるとしても今回は継続する

ビジネスの世界で頻繁に使われているかというと、あまり使われているわけでもありません。
下の項目で詳しく説明しますが、語源となっているのがちょっと残酷な意味も含む言葉でもありますし、「競合」とか「食い合ってる」など、わかりやすい言葉で簡単に代用が出来るなどが要因かと予想されます。

以下ではさらに詳しく、カニバリの例と語源のCannibalizationについて説明していきます。

カニバリの例

ビジネスの世界またはネット用語として使われるカニバリですが、様々な状況で使われるため例としていくつかご紹介します。

ブランドのカニバリ

ファッションブランドを運営する会社が、もう一つブランドを立ち上げる際に、同じ年齢層であったり価格帯をターゲットにしてしまうと、購入してくれる絶対数の中からの売上を奪い合うことになりますので、こういった場合はブランドコンセプトを変えたり、ターゲット層を別にすることでカニバらずに売上を上げる事が出来ます。

ウェブコンテンツのカニバリ

ウェブサイトやブログを運営している人達の間でも使われます。
同じような内容の記事を書いてしまった場合に「この記事とこの記事、カニバってるよね」という様に使われます。
また、グーグルもどちらの記事の順位を上に上げればいいかわからなくなってしまい順位が低下することがあり、SEO(検索エンジン最適化)に悪影響があります。

タイムラインのカニバリ

ビジネスの世界だけでなく、ネット用語でも使われる事があります。
例えばアメリカのニュースが好きな人がいて、ツイッターでそういった情報を取り入れたいたために、アメリカのニュースを発信しているユーザーを多数フォローしたとします。
こうすると同じようなニュースで自分のタイムラインが埋め尽くされる事となり、「アメリカのニュースでカニバってる状態」になってしまいます。

カニバリの語源について

上でも触れましたがカニバリの語源は英語の「Cannibalization」(カニバライゼーション)で、残酷な表現になりますが言葉の意味は「共食い」や「食人」です。

元々はスペイン語の「Canibal」(カニバル)で、「Canib-」は「カリブ族の〇〇」という意味があります。
16世紀頃のスペイン人航海士達の間ではカリブ族は人肉を食べると信じられていたことから由来しています。

なお品詞でいうと名詞はcannibalization、形容詞はcannibalistic、自動詞はcannibalize、副詞はcanniballyです。
また「カニバリズム」(cannibalism)は食人俗、人肉嗜食の意味があります。