1996年(平成8年)の日本新語・流行語大賞です。1984年から開始され、この年は第13回に当たります。

前年・翌年と、すべての年の流行語についてはこちらをご覧ください。

印象に残っているのは大賞の「自分で自分をほめたい」です。
当時高校生でしたが、有森さんが涙を堪えながら言葉を搾り出している姿はとても美しく感動的でした。

トップテンには「援助交際」「チョベリバ」「ルーズソックス」と女子高生に関連するワード(アムラーも?)が3つ入っており、1985年の「ネバカ」に見られるような、女子大生がちやほやされ注目されていたこれまでの時代から、女子高生にシフトしている様子が伺えます。

チョベリバは今聞くと一周回って面白く感じてしまいますね。

公式サイトの発表はこちら「1996年の日本新語・流行語大賞」です。

1996年の日本新語・流行語大賞

1996 大賞

「自分で自分をほめたい」 この年のアトランタオリンピックの女子マラソンで、3位の銅メダルを獲得した有森裕子さんがレース後のインタビューで語った言葉。
スランプや怪我に苦しみながらも、前回のバルセロナオリンピック銀メダルに続き連続のメダル獲得という快挙を成し遂げました。
涙ながらに「初めて自分で自分をほめたいと思います」と答えたシーンは深い印象と感動を残しました。
受賞者は有森裕子さん。
友愛/排除の論理 「友愛」については兄弟姉妹間であったり友人などとの間の愛情や友情などを意味する言葉で、政治家の鳩山由紀夫さんが自らの政治のテーマとして掲げ「友愛政治」や「友愛外交」のように使用していました。
なお中曽根元首相からは「政治は友愛だの何だのと綺麗ごとを言うが中身がなく薄っぺらい。ソフトクリームのようにすぐ解けてしまうだろう。」とコメントされています。
「排除の論理」は、この年(旧)民主党を結成するにあたり、合流を希望していた新党さきがけ代表の武村正義さんを拒否。物議をかもし出しました。これまで鳩山さんを支えてきた人物に対してのこの対応は物議を醸し「排除の論理」と呼ばれました。
受賞者は当時(旧)民主党代表の鳩山由紀夫さん。
メークドラマ プロ野球読売ジャイアンツの当時監督だった長嶋茂雄さんが考案した造語で、「ペナントレースにおいて(今は低迷しているが)巨人軍が大逆転で優勝する」という意味合いで前年の1995年に使われるようになり、その年は3位に終わりましたが翌1996年には首位広島東洋カープに最大11.5ゲーム差をつけられ最下位の状態から見事に大逆転を演じ優勝、メークドラマを成し遂げました。
英語で書くとMAKE DRAMAになりますが和製英語。
受賞者は長嶋茂雄さん。

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1996 トップテン入賞

援助交際 ブランド品や遊ぶ金欲しさに行う売春。当時流行していた携帯電話(ガラケー)などの出会い系サイトなどを使い募集するのが特徴で、主に中学や高校生など18歳未満が行う売春を指します。
風俗街であったり反社会的な関係での売春行為ではなく、ごくごく普通の女子学生が行っているとの報告が衝撃を与えました。
現在でもスマートフォンを使いSNSやサイトを通じて行われており、社会問題となっています。
受賞者は「援助交際―女子中高生の危険な放課後」の著書があるルポライターの黒沼克史さん。
ルーズソックス 脚の部分がだぶだぶに緩く作られた、白い厚手のハイソックスで、たるみを持たせたまま履きます。
伸ばさず履くためだらしなく見えることから、「だらしない」とか「ずぼら」の意味があるルーズなソックスから付けられた名前。
なおlooseの英語読みは「ルース」ですが、負けという意味のloseの読み方が間違って普及した可能性があります。
制服との(見栄えの)相性も良く女子高生の間で大流行し、その後定番化しています。
受賞者はルーズソックスの仕掛け人とされるブロンドール社長の鴇田章さん。
チョベリバ、チョベリグ チョベリバは「超ベリー・バッド」(超very bad)の略で「最悪!」というような意味合いで使われ、反対にチョベリグは「超ベリー・グッド」(超very good)の略で「最高!」という意味合いになります。
コギャルと呼ばれるミニスカートにルーズソックス、茶髪など流行に敏感な女子高生の間から広まりましたが、数年と持たず死語と呼ばれる言葉の1つとなりました。
受賞者については公式サイトによると「??(最初に言い出した人物を調査中、名乗り出てもらえれば後日表彰の予定)」とのこと。
閉塞感(打開) 前年1995年の沖縄米兵少女暴行事件が起き、県民の怒りが増すなか日米地位協定の問題や不十分な対応などが続き、これまであまり大きく取り上げられなかった沖縄県民の米軍基地による重圧や閉塞感、日本政府との複雑な問題が報道され、沖縄の現状が知られることとなりました。
受賞者は沖縄県民大会で郷土への思いと基地問題を訴えた比嘉憲司さんと仲村清子さん。
アムラー 歌手の安室奈美恵さんが大ブレイク。そのファッションや髪型などを真似する人たちの事で「アムロ」に「er」を付けて「アムラー」と呼ばれるようになりました。
茶髪のロングヘアにミニスカート・厚底ブーツに細い眉毛、日焼けサロンで焼いたさわやかな浅黒肌が特徴。
当時はブランドのシャネル(Chanel)を好んで使う「シャネラー」(Chaneler)など「er」を使った言葉が流行っていた背景があります。
受賞者は正統「アムラー」を自認する皆さん。
「ガンと闘うな」(がんもどき理論) 近藤誠さんの著書「患者よ、がんと闘うな」で癌治療においての新理論として注目されたのが「がんもどき理論」。
癌のなかには進行や移転をしない「もどきの癌」もあるため、それまでのがん治療においての常識だった放射線治療であったり抗癌剤治療などを否定し、放置するのが良いという内容。
受賞者は慶應義塾大学医学部講師の近藤誠さん。
不作為責任 薬害エイズ問題で帝京大学医学部附属病院の医師やミドリ十字の関係者、厚生省官僚が逮捕・起訴され、HIV感染の危険性を認識しながらなんら対策を行わなかったとする「不作為責任」が追求されました。
それまで悪意(作為)はなかったとしていた関係者達でしたが、郡司ファイルの発表により危険だとわかっていた事が判明し「不作為」であった事が明らかに。
受賞者は東京HIV訴訟原告の川田龍平さん。

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