1994年(平成6年)の日本新語・流行語大賞です。1984年から開始され、この年は第11回に当たります。

前年・翌年と、すべての年の流行語についてはこちらをご覧ください。

気になったワードは大賞の1つ「イチロー」で、当時中学生でしたが大きく報道されていたのを覚えています。
あとは学校でも真似されてた「同情するならカネをくれ」に、宮沢りえさんの「すったもんだがありました」のCMは意味がわかりませんでしたが、大人になって事情がわかってきました。

公式サイトの発表はこちら「1994年の日本新語・流行語大賞」です。

1994年の日本新語・流行語大賞

1994 大賞

「すったもんだがありました」 宝酒造「タカラcanチューハイ」のテレビCMで宮沢りえさんが言う台詞。「すったもんだ」は漢字で「擦った揉んだ」となり、物事がうまくいかずごたごたした様子を表す言葉。
景気後退や様々な事件など世間でもいろいろな「すったもんだ」がありましたという事を言いたいようですが、1992年に貴花田(後の貴乃花)との婚約し3ヶ月後の1993年にスピード解消している彼女が言う事で想像を掻き立てられました。
CMの商品は「すりおろしりんご」の缶チューハイであり、すりおろしと「擦った」をかけています。
受賞者は女優の宮沢りえさん。
イチロー(効果) この年プロ野球の選手名登録を「鈴木一朗」から「イチロー」に変更したオリックス・ブルーウェーブのイチロー選手が前人未踏のシーズン200本安打(最終的にも210本)という偉業を達成するなど大活躍。
イチロー選手が行っていた、前足(イチロー選手は右脚)を振り子のように動かす事から名づけられた「振り子打法」も注目されました。
他にも首位打者、日本プロ野球史上最年少のシーズンMVP、日本プロ野球新記録の69試合連続出塁など、その活躍ぶりは連日報道され様々な波及効果は「イチロー効果」と呼ばれました。
受賞者はご本人の鈴木一朗さん。
「同情するならカネをくれ」 日本テレビで4月16日から7月2日まで全12回で放送されていたテレビドラマ「家なき子」で、安達祐実さん演じる小学校6年生の主人公「相沢すず」が言う台詞。
家庭は貧しく、家庭内暴力も受ける悲惨な環境の中、様々な困難に負けず生き抜くすずの姿を描く内容。「同情するなら金をくれ!」と叫ぶシーンは世間に強烈な印象を残しました。
受賞者は女優の安達祐実さん。

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1994 トップテン入賞

価格破壊 「ダイエー・松下戦争」と呼ばれる、価格破壊の象徴ともいえるダイエーと松下電器産業(現在のパナソニック)との販売価格を巡る対立で裁判にまで発展した争いがこの年和解。
ダイエー創業者・中内功さんの「いくらで売ろうともダイエーの勝手で、製造メーカーには文句を一言も言わせない」という方針のもと値引き販売を行いましたが、これにメーカーの反発を招き松下電器産業はダイエーに対し出荷停止の措置を取ります。
この対立は1964年から1994年まで続いたため30年戦争とも呼ばれるようになりました。
なお価格破壊の用語自体はこの年誕生したのではなく以前から存在しており、前年の流行語1993年の表現部門の金賞「2500円スーツ」の際も使われた言葉です。
受賞者はダイエーグループの中内功さん。
ヤンママ 「ヤンキー」で「ヤング」(若い)なママのこと。これまでの母親像とは異なる、若くて派手なファッションに茶髪という母親が急増したことから注目された用語。
以前はヤンキー(に見える)のママをそう呼ぶ事が多かったようですが、2016年現在はヤングのママを指している場合が多いように感じます。
受賞者はヤンママの集団に注目し「ヤンママクラブ」と名づけた笠倉出版社の田村恵子さん。
新・新党 前年1993年に「新党さきがけ」や「新生党」など、政党名に「新」の付く名称が注目されるなか、この年自民党に対抗するため野党の合流を目的に小沢一郎さんが代表幹事として「新・新党」を結成することに。
政党名は「新進党」に決まり、この名称が注目されました。なお、その後同党は分裂し1997年に解散しています。
受賞者は小沢一郎さん。
大往生 この年に発売された永六輔さんの著書「大往生」が200万部を超える大ベストセラーに。
「死」や「老い」「病い」テーマに、一般の高齢者からの言葉をまとめたもの。必ず迎えなければならない死、この取っ付きにくいテーマをもっと気軽に語り表現した本。
受賞者は永六輔さん。
人にやさしい政治 この年、村山富市さんが第81代内閣総理大臣として就任、国会演説の中で施政方針として掲げたのが「人にやさしい政治」でした。
お粗末で不明確な政治テーマだとしてマスコミに取り上げられました。
受賞者については公式サイトより「言行一致が明確になるまでは表彰を保留」とのこと。
契約スチュワーデス 経営状態が悪化していた航空各社は正社員のスチュワーデス(当時の呼称、現在のキャビンアテンダント)でなく、「契約スチュワーデス」(アルバイトスチュワーデス)の採用を決めますが、当時の運輸大臣である亀井静香さんが「乙女心に付け込んで」とこれに異議を唱え、世間やマスコミや女子学生を巻き込み論争に。
当時の時代背景として、スチュワーデスは給料は突出して高い上に華やかで女性憧れの職業であり、たとえ給料が低くなったとしても「契約スチュワーデス」により就職への敷居が下がったとの声が多くあり歓迎ムードが大勢だったようで、運輸大臣への批判が見られました。
受賞者は各航空会社の辞退により無し。
関空(かんくう) 9月4日、大阪湾内の人工島に作られた日本初のすべてが人工島である海上空港「関西国際空港」が開港。関西国際空港の略称である「関空」(かんくう)は覚えやすく関西らしいネーミングとして好評となりマスコミでも良く使われる愛称となりました。
受賞者は関西国際空港社長の服部経治さん。

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1994 審査員特選造語賞

ゴーマニズム 「おぼっちゃまくん」などの漫画でも知られる、小林よしのりさんの「ゴーマニズム宣言」が人気漫画に。ゴーマニズムは傲慢(ごうまん)からの造語で、社会問題や政治問題に対し小林よしのりさんの主張や意見などが描写されている思想漫画。略して「ゴー宣」。
受賞者は小林よしのりさん。
就職氷河期 リクルートの就職雑誌「就職ジャーナル」の1992年11月号で提唱された用語で、バブル経済崩壊による景気の冷え込みで就職が困難である状態を表現した言葉(後に1993年から2005年の間との見解があります)。
特にこの年の大卒就職難が社会問題となり注目されました。
受賞者は就職ジャーナル元編集長の長薗安浩さん。

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