「水菓子」の意味を辞書で調べてみると果物フルーツと載っています。
言葉のイメージからすると夏に食べるような涼しげなお菓子を連想してしまいますが、実は写真のような果物を指す用語なんです。

なぜ果物(くだもの)を「水菓子」と言うのか、その由来は長い歴史の中で作られたものでした。

なぜ果物を水菓子という?
漢字伝来以前の時代、日本では栗や木の実や果実など主食以外の間食や軽食に当たる食べ物の事を「くだもの」と呼んでいました。
弥生時代になり漢字が伝わると「くだもの」は「菓子」または「果子」の字が当てられるようになります。

奈良時代から平安時代の頃になると穀類を加工して作る「唐菓子(からくだもの)」のような、現在のお菓子に分類される食べ物が次々と伝わってきますが、この時代だとまだそれらも「くだもの」とされていたようです。

そして江戸時代になるとそれらの呼び方に変化が現れ、加工して作る甘い食べ物を「菓子」、果実類の事を「水菓子」と区別して呼ばれるようになり現在に至ります。

下記でも説明しますが、最近ではこの「氷菓子」の表記はあまり見かける機会が少なくなり、昔の小説の中で「水菓子屋」(果物屋さん)という記述だったり、歴史ある懐石料理のお店などでは現在でも「水菓子」として提供される事がありますが、それくらいしか見聞きする事がなくなっています。

果物から別の意味に変化へ
幻水涼餅
うどんミュージアムの「幻水涼餅(げんすいりょうもち)

現在、「水菓子」というと上の写真のような夏に食べられるお菓子、水ようかんやところてん、ゼリーや寒天を使った涼菓を指す用語として使われる事が多くなっています。
本来の意味の「果物」としての意味が時代と共に変化したのか、または知らずに使われているのか、はたまた誤用から広まってしまったのかはわかりませんが、一部の雑誌やカタログなどでもそのような表記が見られるようにまでなってしまっています。

言葉は生き物ですが、せっかくここまで生き残っている大昔からの言葉ですので、個人的には本来の意味で使われ続けて欲しいと思います。