冬はカニのおいしい季節!テレビや雑誌、スーパーなどでも目にする事が多くなりますが、カニの甲羅に付いてる黒いブツブツとした粒状の物体、気になりませんか?

なんか蟹の模様のような印象で見過ごしてますが、よく見ればみるほどちょっと不気味というか気持ち悪いような・・・。

甲羅にカニビルが付着したズワイガニ(越前ガニ)
©越前田村屋

この黒い粒の正体は「カニビル」の卵です。
名前から想像出来ますが、あの川などにいるヒルの一種です。

ただし、卵から孵った成虫は蟹には寄生せず、魚の体液などを吸って栄養をとっています。
あくまで卵だけを蟹の甲羅に産み付けているだけで、見た目は悪いですが蟹にとって特に害はありません。

なぜ蟹の甲羅に卵を産み付けるかというと、カニビルの生息する海域は海底が泥に覆われ柔らかく産卵に適さないためである事と、蟹と共に移動も出来るからのようです。
そのため岩場のある海域でとれた蟹には付着が少ない個体が多くみられます。

カニビルの卵産み付けの対象になってしまっている蟹は「ズワイガニ」をメインに「タラバガニ」にも小さいものが見られますが、さすがに毛ガニには産み付けないようです。

以下ではさらに詳しくカニビルにまつわる情報をまとめましたのでご覧ください。

いっぱい付いていればいるほど旨い?
昔からよく言われている事で、このつぶつぶがいっぱい付いているとおいしいという話。
これは、脱皮から月日が経過した時間が長い、硬い甲羅の蟹に卵を産みつけると言われるからです。
蟹は脱皮の際に栄養を使うため、直後は中身がつまっておらず、スカスカな状態になるそうです。

しかし、脱皮から間もない蟹にも産みつける事があるため、絶対に脱皮から時間が経っていて身がつまっているとはいえません。
あくまで目安の1つとしてお考えください。

付いているかいないかで産地がわかる?
これもよく言われています。
カニビルが付いていれば「日本海産」「日本産の蟹」とか、越前がにや松葉ガニのような「ブランド蟹」などの話や、「カニビルは日本海側にしか生息しない」という話もあります。

しかし実際にロシア産の蟹に付着しているのを見ますし、北海道や東北の太平洋側でとれた蟹でも見られるようです。

なのでこれも目安にはなりますが、日本産である絶対的な証拠にはなりません。
ただ日本海産の蟹に多いのは見ていて感じます。

甲羅から中に入り込んだりしてない?
まれに成虫が蟹の甲羅に付いた状態で水揚げされる場合もあるようですが、寄生したり甲羅を破って体液を吸うような事はありません。
このカニビル、食べられる?
食べられません!

個人的な感想ですが最近は綺麗な個体が好まれ、カニビルがびっしり付着した個体は敬遠される傾向が見られるようになったように感じます。

料亭やかに料理店などでは取り除いてから出される事が以前より増えているようですし、通販サイトなどのサンプル写真を見てみても、取り除いて撮影しているショップが多いです。