技適マークとは「技術基準適合証明」および「技術基準適合認定」のどちらか、または両方の認証を受けている事を示すマークの事です。
技術基準適合証明を略して"技適"とし、読み方は「ぎてきまーく」です。

日本国内で無線機(微弱電波でない設備・機器)を使用するには、無線局免許かそれらの認証が必要で、それ以外の無線機を使用すると違法となる恐れがあります。

認証を受けた機器や設備には下の画像のマークを表示します。

  • 技適マーク
    現在の技適マーク。1995年から使用されています。
  • 旧タイプの技適マーク
    こちらは旧タイプの技適マーク。

携帯電話の技適マークはどこにあるかというと、端末の裏やバッテリーの収納場所、ディスプレイ表示だったりと、それぞれの端末やOSによって異なります。
iPhoneだとiOS7の場合、「設定」 → 「一般」 → 「情報」 → 「法律に基づく情報」 → 「認証」から確認する事が出来ます。

iPhone 5sの技適マーク
iPhone 5sの技適マーク

なぜこの技適マークがあるかというと、携帯電話はじめテレビやラジオや警察無線・消防・救急無線など目には見えませんが私達の身の周りで様々な用途で使われている無数の電波を妨害する事がないようにするためです。
同じ周波数であったり強い電波によってこれらの通信に障害がると混乱を引き起こす原因になり得ますので、認証をパスした機器を使わなくてはいけないわけです。

無線機に該当するものは一例として以下のようなものがあります。

  • スマートフォン・ガラケーなどの携帯電話
  • トランシーバー
  • ワイヤレスマイク
  • コードレス電話
  • インカム
  • FMトランスミッター
  • 無線LAN機器
  • Wi-Fiを使っている機器
  • Bluetoothを使っている機器
  • 市民ラジオ
  • アマチュア無線(144MHz帯、430MHz帯など)
  • パーソナル無線(900MHz帯など)
  • ラジコン(2.4GHz帯など)

一番身近なのはやはり携帯電話だと思います。
ドコモ・au・ソフトバンクなどの大手キャリアが販売している端末についてはすべて技適マークがついていますが、問題はSIMフリー端末です。
技適マークのない海外製が日本国内で相当数が流通している現状があります。
詳しくは下記にある「技適問題」の項目をご覧下さい。

携帯電話に限らず、海外製のトランシーバーやBluetooth機器なども技適マークがない商品が実際に流通してる事があるため、購入前に販売店や型番などで確認する必要があります。

総務省のウェブサイトでは証明を受けた機器の検索や、無線機の購入・使用に関する注意点などが説明されているのでこちらをご覧下さい。

以下では最近話題になっている技適問題などをさらに詳しく解説しています。

「技術基準適合証明」「技術基準適合認定」はそれぞれ総務省令の「特定無線設備の技術基準適合証明等に関する規則」「端末機器の技術基準適合認定等に関する規則」において実施されます。
技術基準については前者が電波法(第三十八条の二)で、後者が電気通信事業法(第53条)で定められています。

スマホなどの携帯電話は特定無線設備(第二種)に分類されます。

それぞれマークも異なっていましたが、機器の小形化により、複数のマークを表示するのが難しくなるなどの事情もあり、現在はマークが統一され印刷やラベルだけでなくディスプレイでの表示も可能になりました。

技適問題
MVNOなどが取り扱うSIMカードを利用する場合、それを使うスマートフォンやタブレット・ルーターなどの機器は、大手キャリアから販売されているSIMロックの端末でなく、基本的にはSIMフリーの端末を利用することになります。

参考:「SIMとは?(作成中)」「MVNOとは?

しかし現在日本国内で販売されているSIMフリーの端末は日本向けに製造されたものでなく、多くが海外製品を輸入したもので、ほとんど技適をパスしていない状態です。
それを購入してSIMカードを挿して使えば違法なわけですが、ユーザ自身も技適を知らなかったり、販売自体を直接取り締まる法律も現時点でありません。

ただし、日本のSIMではなく海外のSIMを挿した状態で日本国内に入り、国際ローミングで使用するのは違法ではありません。
これを規制してしまうと、日本では国際ローミングが出来ない事態になってしまうため例外的に認めているものと思いますが、ちょっとややこしいですね。

現時点では違法でありながら様々な事情で摘発も難しく(技術的にはデューラス[DEURAS]を使い違法電波は簡単に摘発可能です)、SIMフリー携帯電話に限っては技適マークや電波法での規制がうまく機能していない現状があります。

これらの問題が「技適問題」と呼ばれています。

例えばXperia Z Ultraが大手キャリアから販売されているので、輸入したSIMフリー版のXperia Z Ultraも技適をパスしているだろう・・・という訳にはいかず、同じシリーズでも日本向けと海外向けのグローバル版では違う場合があるので、型番で調べる必要があります。

この技適問題に対して総務省で最近動きが見られました。
日本の周波数で通信できる端末に限定して使用を認める電波法の改正案を、2015年に国会に提出する予定との報道がありました。
訪日客が増える2020年の東京オリンピックに向けて、「SAQ2(サクサク) JAPAN Project」と題して通信環境の整備を進めており、その一環としてこの緩和を進めているようです。
現時点では外国籍の方のみが対象になるのか等、詳しい内容は不明なため、情報が入り次第追記します。

スマートフォンのメーカー側でも技適をパスしたSIMフリー端末を製造する動きも見られます。
例えばソニーのXperia Z3(D6603) と Xperia Z3 Compact(D5803)は国内未発売のモデルながら技適マークが付いています。
SIMフリーを使うユーザも増えてきた事から、このような対応は今後増えてくるものと思います。

違反するとどうなる?
2015年1月現在ではSIMフリー端末を使った事での直接的な摘発は見かけませんが、関連する情報としては2010年に他人のパソコン用無線LANを無断で使える機器を販売したとして販売店の3名が逮捕されました。
この機器は電波法で定められている上限の約1000倍の出力がある機器で、当然技適マークはなく、容疑は「電波法違反幇助」でした。
違法機器を販売する事で購入した客が電波法違反する手助けをしたという事です。
なお、客5人については「電波法違反」の容疑で書類送検されたそうです。

技適問題、情報が入り次第このページにて追記していきます。

到達距離の狭い微弱電波については技適マークは不要のようですが、その範囲を超える商品が流通している事例が多数ある事から、実際に購入して測定した結果を公表しており、2013年からからはそれらを輸入していたり製造販売している業者に対して行政指導を行っているようです。