「香具師」はネット上で「奴」とか「あいつ」といった意味で使われる用語です。

香具師は実際に昔から使われている言葉・漢字で、読み方は「やし」。
「かぐし」とか「こうぐし」と読んでしまいそうですが、試しにパソコンやスマホで入力してみると変換候補には本当に「やし」が出てきます。

なぜこれが「奴」の意味で使われるようになったかというと、ネットが普及し始めた頃、掲示板の2ちゃんねるではカタカナの「ツ」を「シ」であったり、「ソ」を「ン」と表記するなどの言葉遊びが行われており、「ヤツ」が「ヤシ」となり、これが「香具師」となりました。

変化の流れです。
奴 → ヤツ → ヤシ → やし → 香具師

使い方はそのまま「奴」を入れ替えた形で表記されます。
表現の例です。

  • まだあれ見てない香具師www
  • 明日行きたい香具師は俺に言ってくれ
  • 香具師も怪しいぞ
  • そんな香具師には気をつけろ!
  • 落ち着きがない香具師


読み方については「やし」または「やつ」になりますが、あまり声に出して読まれるような状況がないためはっきりとは決まっていません。

いつ頃から使われ始めたかというと、1999年2月に遡ります。
2ちゃんねるが台頭する前によく使われていたアンダーグラウンド系掲示板「あやしいわーるど」で、固定ハンドルネーム「DTP」というの方の偽者が現れ、それがバレると「(DTPを)騙ったやつ」という意味で「DTP@香具師」と自虐でハンドルネームを使ったことからといわれています。

これ以降ネット上、特に掲示板では長年にわたり利用されるようになりますが、現在ではさすがに頻繁に見かける事は少ないものの、2ちゃんねるなどの掲示板はもちろん、ツイッターやFacebookなどのSNSなどで時々見かけます。

ネットをよく見ている人達の間では知名度の高い用語ですが、そうでない人は意味がわからないと思いますので使う場所やタイミングに配慮する必要がありそうです。
また、ネット以外では使われない言葉ではありますが、書き込みが本当の意味で香具師を指している場合も考えられるので、文脈や空気を見て判断しましょう。

なお、香具師の意味ですが、現在では「露天商」であったりお祭りなどの縁日で屋台を出して商売する「的屋」(てきや)を指す言葉です。
江戸時代には薬や香具を作り露天で商売していた「香具」の師で香具師(こうぐし)と読んでいて、明治時代は露天商を取り仕切るような人達を呼ぶようになり、現在の的屋につながります。

「こうぐし」が「やし」という読み方になった経緯については様々な説があり、露天で薬を売っていた経緯から「薬師」(やし)の説や、貧しかった武士・野武士が薬を売り始め「武士」の武を略して「野士」(やし)になった説、または野士の取り扱う商品に香具が多かったためとする説などがあります。

他にもネット用語やツイッター用語をまとめていますのであわせてご覧ください。