もち麦は、麦飯で使われる押し麦と同じく大麦(裸麦)の一種で、押し麦が粘りの少ない「うるち性」なのに対して、粘りのある「もち性」の特徴を持つのが「もち麦」です。
お米の「うるち米」と「もち米」のように、うるち種はでんぷん(グルコース)が「アミロース」と「アミロペクチン」の2種から構成されていますが、もち種の場合はそのほとんどが「アミロペクチン」の1種で構成されており、この違いが粘りのありなしを決定付けています。
白米と混ぜて炊いたもち麦ご飯の写真。プチプチ・モチモチした食感です。
家庭での食べ方は麦飯のように白米と一緒に炊飯したり、茹でて他の食材とあえたりして食す事が多いですが、昭和初期のころは団子にして食べられていた事から「だんご麦」と呼ばれる事もあります。
現在もち麦の特性を生かした商品開発も行われていて、小麦粉と共に練って作る「もち麦うどん(もちむぎ麺)」や「もち麦せんべい」「もち麦ベークル」「もち麦パン」などの商品も発売されています。
最近、このもち麦が注目されるきっかけになったのが、今年4月(2013年)にNHK総合テレビ「ゆうどきネットワーク」という番組で放送された『明日からデキる!生活向上委員会「もっちり!もち麦で脱メタボ」』で紹介された事からです。
放送直後からツイッターやFacebookなどネットでも話題になり、品薄・売り切れがしばらく状態になるほどの反響が出ました。
今でも健康に気を使う人たちを中心に根強いブームが続いています。
- 栄養や効果効能について
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もち麦の栄養や効果についてNHKで紹介されていたは大まかな内容です。
- もち麦(大麦)には、内臓脂肪やコレステロールを減少させてメタボリックシンドロームを改善する効果があることがわかってきた
- 穀類の中でも特に食物繊維が豊富で、その量はさつまいもやごぼうにも負けない
- もち麦は粘りのあるβグルカンを多く含んでいるため、食事が時間をかけてゆっくり消化されます。血液中の糖の量が増えすぎず、多すぎた糖を脂肪としてためこまなくてすむため、肥満を抑制することができる
- もち麦を食べると、次の食事でも血糖値の上昇を抑える「セカンドミール効果」があり糖尿病の予防にも期待できる
NHKで推奨している分量や食べ方についてはこちら
ごはんに3割ほど混ぜ、出来るだけ毎日食べ習慣を続けることが大切
もち麦(大麦)は腸内の善玉菌の栄養素にもなります。食事の時にヨーグルトも一緒に食べると相乗効果が得られると考えられます。
注意点としてはこう述べられています。
もち麦は便通などもよくする効果が確認されていますが、ひどい便秘の人はいっきに食べ過ぎず、まずは、少しずつ量を増やして下さい。
下記の栄養成分表ははくばくのもち麦ごはんの1パック(60g)当たり
エネルギー 204kcal たんぱく質 5.7g 脂質 1.0g 糖質 39.1g 食物繊維 7.7g ナトリウム 8.1mg - おすすめのもち麦
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麦製品で最も有名なメーカーの1つです。きれいに精麦され、皮は残っていないタイプです。
豆や雑穀を専門にしているすずやさんのもち麦です。実際にもち麦ごはんにした写真やその他の商品も下記のページで紹介していますのでよかったらご覧ください。
⇒おすすめのもち麦ごはん一覧 - もち麦の写真
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©Yoshihihito SENDA
紫に色づいたもち麦の穂の写真です。この色はもち性裸麦の特徴です。
外皮のないタイプ(はくばくのもち麦ごはん) 外皮のあるタイプ(ベストアメニティのもち麦) 各メーカーが発売しているもち麦は、写真のように麦の外皮を残したものと、完全に取り除いたものがあります。
見た目は写真の通り一目瞭然で、左は皮の濃い茶色がはっきりわかります。外皮を取り除いたものもプチプチもちもちの食感ですが、外皮があると固めのプチプチした歯ごたえとなります。
- 分量や炊き方について
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はくばくの「もち麦ごはん」の炊き方を例に見てみます。
- お米1合を洗い、水を切ります(もち麦は洗わなくてOK)。
- 「もち麦」を1袋(60g)加えます。
- 水を1.5合の目盛まで入れたら軽く混ぜて通常通り炊飯します。
はくばく以外の他の各商品の説明を見ると使用分量はバラバラなので、書かれている通りに炊いてみて、後はお好みにあわせて調整するのがいいかと思います。
お米の重量の2割から4割くらいが目安になるでしょうか。
水の量は麦の重量に対して2倍が目安です。上記を目安にして1合(約150グラム)でもち麦ごはんをつくる場合は、1合の米を洗い水をいつもの通り1合の目盛りまで入れます。
もち麦を45グラム入れ、水を90グラム加えて炊きます。ただし、上の写真にある茶色い外皮が残っているタイプは少な目の量にした方がおすすめです。
目安は白米1合に対しておおさじ1~1.5で、水はそのままの量か麦の重量に対して1~2倍です。ほとんどの場合は白米を研いだ後に入れ、麦を洗う必要がないですが、稀に米と一緒に洗うよう説明されていいる商品もあるようです。
- もち麦の歴史
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もち麦は紀元前3000年頃には西南アジアで栽培されており、その後ユーラシア大陸全土とアフリカ東北部に伝わっていったようです。
現在でも栽培が続いているもち性の麦は日本と中国・朝鮮など東アジアだけで、日本では瀬戸内海沿岸の各県と九州北部の地域で栽培されています。昭和初期まではこれらの地域で多く栽培され、団子にして食べたり米の代用とされていましたが、栽培の難しさや白米の流通が急増したこと、食生活の変化などから流通量が激減し、一時期は栽培されない期間もあったようです。
このような事から「幻の麦」とも呼ばれるようになりましたが、健康志向の高まりや雑穀のブームもありその栄養価が見直され、近年は流通は増え作付面積も増加傾向にあるようです。