ハラスメント』(harassment)は英語で「悩ませる」「苦しめる」の意味で「嫌がらせ」とも訳されます。
他社を不快にさせたり尊厳を傷つけるような言動であったり、脅威を感じさせる、損害や不利益を与える等を指す用語です。
明確な意図がなくとも相手に不快な思いをさせたり権利侵害となってしまった場合も含まれる事があります。

明確な定義がない場合も多く、判例で判断したり条例を制定するなどで対応させてゆく必要がありそうです。

この用語の使い方として、例えば「性的」の意味である「セクシャル」を頭に付け加え「セクシャルハラスメント」とすると「性的嫌がらせ」となります。
「○○ハラ」のように略されて呼ばれる場面が多いです。

そんなハラスメントですが、近年さまざまなハラスメントが叫ばれるようになってきたので、それらを一覧にしました。
なお、和製英語が多いためそのまま英語圏の方に言っても通じない可能性があります。
常に新しい言葉が作られていますので、見つけ次第追記します。
リストラハラスメントなどのあまり使われていない用語は省いています。

名称 略称 説明
セクシャル ハラスメント セクハラ 性的(sexual)な嫌がらせ。猥褻行為や性行為の強要、性的や容姿・身体について尋ねる、酌の強要、結婚や出産のことを執拗に聞き出す等、まだまだ多数の事例があります。
1970年代初めにアメリカで使われだした言葉で、日本では1989年新語部門の金賞を受賞するなど、もっとも古くから使われ、良く知られているハラスメントかと思います。
セクシュアルハラスメントの表記も見かけます。
パワー ハラスメント パワハラ 会社など職場での地位や立場や人間関係、職権・権力(パワー)を利用した嫌がらせ。強制退職をちらつかせる、多数の前で叱責、無理難題を与え未達成として低評価にする、酒の強要など。弱い立場の労働者の働く権利を侵害し、職場環境を悪化させます。和製英語。
アカデミック ハラスメント アカハラ 大学などで教職員が学生や他の教職員に対して行う嫌がらせ。学術に関係ない人格否定、達成不可能な課題を短時間しか与えず提出指示、正当な理由なく論文を受理しないなど。実際の事例として、岐阜大学大学院にて中国人留学生の女性が男性講師に「社会のくず」と言われ2009年に110万円支払命令が出ています。
立場や人間関係を利用しているためパワハラの一種ともいえます。
キャンパス ハラスメント キャンハラ 大学内外で起こる、相手を不快にさせたり就労・教育・研究・課外活動において妨げになる様々な行為全般を指す用語。学術的な「アカハラ」、性的な「セクハラ」、モラルによる「モラハラ」、職権を利用した「パワハラ」のようなハラスメントの総称。
ジェンダー ハラスメント ジェンハラ 男はこうだ、女はこうだ、のような固定観念に基づく行動から外れた言動や態度に対して非難や嫌がらせをする事。男のくせに細かい、女なのに料理出来ないの?など。
セクハラの一種との考えもあります。
セカンド ハラスメント セカハラ セクハラの被害を受た人が、それを上司や会社に訴えた事により会社側から受ける二次被害の事。会社側は事実を隠蔽したり外部に漏らしたくない事から職場にいづらくなるような嫌がらせを行うようです。
スメル ハラスメント スメハラ 臭いによる嫌がらせ。きつい体臭であったり、香水による強すぎる匂い。スメル(smell)は臭いや悪臭の意味。
ソーシャルメディア ハラスメント ソーハラ FacebookやツイッターなどのSNS、ソーシャルメディアを使った嫌がらせで、人間関係や職場での上下関係を利用して友達申請したり(下の立場にいる人は断れない)、コミュニティに入り込んだり、思っているような発言を出来ないようにするなどの圧力をかけるなどが該当します。
ソーシャルハラスメントとも言います。
マタニティ ハラスメント マタハラ マタニティ(maternity)は「妊婦」という意味で、妊娠や出産に関連する嫌がらせ。妊娠を理由に退職または降格させる、育児休暇を認めない等のような不当な扱い。マタハラは和製英語で、英語では妊娠に関する嫌がらせは「Pregnancy discrimination」(プレグナンシーディスクリミネイション)が使われます。
シルバー ハラスメント シルハラ シルバーは日本において高齢者を意味する言葉で、高齢者に対する嫌がらせ。特に老人介護での場面で使われていて、精神的に追い詰めるような言動、暴力的な扱い、介護疲れによる介護拒否など、幅広く使われています。
ブラッドタイプ ハラスメント ブラハラ 血液型を意味する「ブラッドタイプ」による嫌がらせ。主に日本含むアジアでは血液型(ABO式血液型)による様々な分類が行われており、血液型で性格を決め付けたり差別されるなど危険性が指摘されています。血液型ハラスメント、略して「ケツハラ」の名称も存在するようです。
ドクター ハラスメント ドクハラ ドクター(医者)や看護師など医療従事者による患者または患者の家族や関係者への嫌がらせ。知識がない事をいいことに強引に手術を行う、「こんな身体じゃお嫁に行けないね」などの発言、「何もしないなら死ぬよ」などの脅し。ドクハラを受けた患者は心的外傷後ストレス障害(PTSD)に陥る可能性があります。
スモーク ハラスメント スモハラ スモーク(smoke)、喫煙に関する嫌がらせ。意思に反して非喫煙者に対して喫煙を強要したり、社内の分煙運動を進めたら解雇、などのように幅広く喫煙を巡る嫌がらせを含みます。
アルコール ハラスメント アルハラ アルコール(お酒)での嫌がらせで、無理やり飲酒させるたりイッキ飲みをさせるなどの強要であったり、酩酊での暴力行為や迷惑行為まで含みます。
モラル ハラスメント モラハラ 言葉や態度での精神的虐待。モラルのない人を物扱いするような感覚で相手に心無い言動を行うこと。
家族や恋人などの間で行われる事も多く、その場合は長期に渡るダメージの蓄積で被害者は心に大きな傷が付く場合も。モラル(moral)は倫理や道徳といった意味。モラルハザードという用語もありますがモラハラとは異なります。
カラオケ ハラスメント カラハラ 歌いたくない人に対して無理やり歌わせるなどの強要、行きたくないのに無理やりカラオケに連れて行くなど。
エイジ ハラスメント エイハラ エイジ(age)、年齢による差別や嫌がらせ。若い人でなく主に中高年が対象になっており、家庭や会社などシーンは限定されません。「長年何してきたの?」等の発言。2015年にはテレビ朝日で同名のドラマが放送されました。
ハラスメント テクハラ テクノロジー、コンピュータや機器の知識がある人による、それらが苦手な人へのいじめや嫌がらせ。相手の知識レベルを知りながら難しい専門用語を当たり前のように使ったり侮辱するなどが該当。
マリッジ ハラスメント マリハラ 結婚(marriage)に関する嫌がらせ。職場で「まだ結婚しないの?」「だから結婚出来ないんだよ」などの発言。セクハラの一種と考えられる場合もあります。