主にネット通販の商品説明などに記載されているのを見かける「並行輸入品」の意味は、海外メーカー・ブランドから正規のルート以外で輸入した商品の事です。
一方、並行輸入品でない正規のルートで輸入しているものを「正規輸入品」と言います。

正規とは別のルートである事から「並行」という名称が使われます。

「正規輸入品」は、海外メーカー・ブランドの日本法人(日本支社)であったり契約関係にある会社がメーカー・ブランドから直接買いそれを日本に輸入するのに対し、「並行輸入品」はメーカー・ブランドとは関係ない個人や会社が直営ショップや量販店やネットショップなどで一般に流通している商品を買い付けそれを輸入して販売しています。

わかりにくいと思いますので、例えばファッションブランドFOREVER 21の正規輸入品と並行輸入品を例にしてみます。

FOREVER 21の本社はアメリカにあり、日本での販売を行う「Forever21 Japan Trading Company」が輸入し販売している商品を「正規輸入品」。

アメリカ現地にあるFOREVER 21直営店や取扱店、ネット販売されている流通品を購入して日本に輸入したのが「並行輸入品」になります。

さらに詳しく「正規輸入品」と「並行輸入品」それぞれの説明と違いやメリットデメリットについてみていきましょう。

正規輸入品
海外メーカー / ブランド

そのメーカーやブランドの日本法人 / 正規代理店などが直接購入 ⇒ 消費者へ

販売店 / 小売店 ⇒ 消費者へ

日本法人であったり正規代理店など、契約関係にある企業などがその海外メーカーから直接買い、それを輸入し日本国内に流通させます。

並行輸入品
海外メーカー / ブランド

ブランド直営ショップや取扱店・小売店 ⇒ 消費者へ

メーカーとは無関係の人が購入し輸入 ⇒ 消費者へ

販売店 / 小売店 ⇒ 消費者へ

一般に流通しているものを契約関係にない第三者が買い付け、それを日本に輸入します。

注意点
メリットとデメリット
一番のメリットは「並行輸入品」の価格の安さです。
正規品の場合、特に高級ブランド品は値崩れ防止やブランドイメージなどがあるため日本での販売価格は固定されていて値下げセールなどもあまり行われませんが、並行輸入品はそういった縛りがなく為替相場が円高になれば価格を下げる事もできますし、日本以外の国だと正規品が安価で販売されている事などもあるため正規輸入品に比べ販売価格を低くする事が可能です。
もう1つのメリットは日本未発売の商品が手に入る事です。海外メーカーが日本での販売をしない方針でも現地で手に入れ平行輸入品として販売されているものを購入する事ができます。

デメリットとしては返品が不可であったり、購入後の修理やメンテナンス・アフターケアなどがない事が多く、その商品を正規取扱店などに持ち込んでも国内正規品でない事を理由に対応を断られる事もあります。
ただそのように偽物でないのにも関わらずルートの違いによって取り扱いを変える行為は独占禁止法で禁止されているので、現時点で日本国内においては本来は違法です。

並行輸入品は仕様が違う?
海外で流通している商品と、日本市場向けに開発された商品は仕様が異なる場合があります。
服であればサイズの基準も違いますし、食品なら各国で好まれる味付けが違います、生活用品は色や大きさの好みが違う事がありますので、メーカー・ブランドはそれに対応するために各国の仕様を変更して製造している場合があるからです。

そういった場合、平行輸入品の場合は現地の商品を買っているので、日本向け商品とは異なるものになります。
例えばペット用フードのグリニーズの場合、アメリカで流通している商品はややくすんだグリーンに粒々の入ったものですが、日本の消費者向けに開発し販売されている日本の「国内正規品」は粒々の入っていない濃いグリーンです。

並行輸入品の違法性は?
「並行輸入」は違法ではありません。
1971年までは違法という判断がされていましたがパーカー万年筆事件の判決をきっかけに並行輸入は適法との判断がされました。
日本以外の国では違法とされる場合もあります。
並行輸入品を騙る偽物も横行
本来の意味での「並行輸入品」は上記の通り「正規品」を海外で購入して輸入しているものなので「本物」なんですが、「並行輸入品」と称して全くの偽商品・コピー商品を販売するショップもネット通販を中心に増えています。
また、製造工場から基準に満たない廃棄商品が横流しされ、それを「並行輸入品」と騙って流通されてしまった事も実際にありました。

完全な本物を買うにはそのブランドの直販店や正規に認められた販売店、ネット通販であれば公式サイト以外では完全に見抜くのは難しい現状といえます。