2017年9月からJAL(日本航空)の国内線で「無料Wi-Fiサービス」が開始され、航空券だけ購入すれば追加料金なしで誰でも機内でインターネットの利用が可能になりました。
それまでもJALでは期間限定で無料キャンペーンを行っていましたが、正式なサービスとして提供が開始されたわけです。
JAL公式ページはこちら。
何度か利用してみた感想としては、飛んでいる場所によって通信速度が速かったり遅かったり、繋がりが悪く途切れてしまう事も見られたり、実用レベルで使えるタイミングもあったりと、安定しない印象です。
特にネット回線でいう「上り」が特に不安定で遅いため、画像編集を行い保存したり、動画をアップロードする等の用途では使えないものとして考えておいた方が良さそうです。
スマホの接続については特に繋がりづらく、LINEの文字でさえも送信できずに保留となってしまいました。
ただ、パソコンで文章を書いて保存する位であれば可能でした。
下りも特に速いわけではありませんが、ネットサーフィンであったり、TwitterやFacebookなどのSNSの利用、グーグルアナリティクスの確認などについてはやや時間がかかりますが可能です。
なおWi-Fiだけに目が行きがちですが、実はビデオプログラムも用意されており、過去にテレビ放映されたバラエティ番組やスポーツ、ビジネス、アニメ、ドラマなども無料で視聴することが出来ます。
試しにドラえもんを見てみましたが、Wi-Fiの不安定さとは別に全く問題なく見る事が出来ました。
なお2018年2月以降はスマホまたはタブレットから動画を閲覧する場合、各種アプリのインストールが必要になります。
以下では、実際に計測してみた通信スピードや、接続方法、高度1万メートルにも及ぶ距離でなぜインターネット接続が可能なのか等について詳しく見ていきましょう。
Wi-Fiが利用できる時間や条件など
無料Wi-Fiサービスが利用できるのは国内線であることと、Wi-Fi対応機材がある飛行機であることです。
全部の飛行機で使えるわけではないのか・・・と思われた方、僕自身もWi-Fiに対応していない便に当たった事がありましたが、マイナー路線でない限り多くの場合は使えると思って大丈夫です(あくまで感覚ですが)。
対応・非対応かを調べるには、JALのウェブサイトでの予約画面や予約確認画面に便名に「Wi-Fiのマーク」の有無でわかります。
利用できる時間については2017年12月現在公式サイトや機内放送では「離陸後5分後から着陸の5分前まで」とアナウンスされています。
個人的には離陸から5分というとまだシートベルト着用ランプが付いておりパソコンを取り出すのは周りにも迷惑になる可能性があるため、ランプが消えて機体が安定してから利用し、着陸時も同じく5分前でなくてもシートベルト着用ランプが付いたらパソコンをバッグに入れるようにしています。
なお到着前の着陸態勢で3,000フィート以下の高度になると、機内Wi-Fiサービスは自動で接続が切られてしまうとのことです。
接続方法・使い方
JALの機内で使うWi-Fiは「gogoinflight」という名称になります。
カフェや街中を飛んでいるフリーWi-Fiに接続するような感覚でgogoinflightに接続しようとしても出来ませんので、繋げる方法を詳しく見ていきましょう。
まずは飛行機に乗る前に機内Wi-FiのプロバイダであるGogoのアカウントを、こちら「Gogoアカウント作成 / ログインページ」で作成しておく必要があります。
必要事項を入力して登録を完了させます。
グーグルドライブやEvernoteなどのクラウドにパスワードを保存しておくと、ログインするまでインターネット環境が無い機内で呼び出せなくなってしまう可能性があるため、メモ帳であったりオフラインでも見る事が出来るアプリなどに保存しておく方がいいでしょう。
登録を済ませたら、あとは機内で利用する手順に進みます。
なおJAL公式ページのWi-Fiサービスのページはこちらです。
iPhoneで接続する方法
事前(電波を発する機器の使用禁止という機内アナウンス前)に「設定」から「機内モード」をONにしておきます。
Wi-Fiが利用できるタイミングになったら、機内モードはONにしたままで「設定」の「Wi-Fi」もONにします。
Wi-Fiのリストに「gogoinflight」が表示されますのでタップ。
Safariなどのインターネットブラウザを立ち上げると自動でGogoの画面に移行しますので、「接続」ボタンを押してログイン画面へ進めます。
最初うまく繋がらず、インターネットに接続できない画面が表示されたりしましたが、何も表示されなくても何か適当に検索しているうちに繋げられました。
画面が移行したら、あらかじめ登録しておいたGogoのアカウント情報でログインします。
途中で認証画面が出て、足し算などの問題が出るので回答します。
インターネットに繋がりました。
現在飛んでいる場所等も表示されました。
なぜか2回目からは問題なくログインがスムーズに出来るようになりましたが、1回目はなぜかなかなかログイン画面に移行せず少し苦戦しましたが、5分くらいひたすらページ更新ボタンを押したり、ネットに繋がっていない状態でも検索してみたりするうちに繋ぐことが出来ました。
もちろんスマホでもWi-Fiだけでなく動画コンテンツを視聴することも出来ますが、2018年2月以降はスマートフォン又はタブレットについてはJALアプリのインストールが必要になります。
iPhoneで接続する方法
PCの場合はいつもネットに接続するように、Macの場合は右上にあるWi-Fiのマークを、Windowsの場合は右下にある同マークをクリックして「gogoinflight」を選びます。
ChromeやFirefoxなどのブラウザを開くとGogoの画面に自動で移行するので「接続」ボタンを押して、ログイン画面に進みます。
あらかじめ登録しておいた情報を入力し、認証画面で足し算の答えを入力するとログインとなります。
スマホでもそうでしたが、なかなかログイン画面が表示されませんでしたが、ページ更新であったり検索してみたりと接続を試みていると表示されるようになりました。
繋がりました。
現在どこの上空を飛んでいるのかが地図上に表示されています。
下にスクロールすると動画コンテンツの一覧があります。
通信速度について
実際にJALの国内線に搭乗して、Wi-Fiの速度調査をしてみたのでご覧下さい。
ある程度ネットが出来るようなスピードに見えますが、何しろ安定していないため途切れたりすることも多々あります。
機内でネットを利用する方が多い場合なども速度が極端に落ちたり接続しづらい状態になるようです。
日付と便 | 下り(Mbps) | 上り(Mbps) | PING | 備考 |
---|---|---|---|---|
2017年8月13日 伊丹 – 羽田 JAL134便 |
4.65 | 0.49 | 843 | すべてスマホのアプリ「SPEEDTEST」で計測。 |
2017年9月22日 羽田 – 帯広 JAL573便 |
– | – | – | Wi-Fi機器未設置のため使用不可でした。 |
2017年9月24日 帯広 – 羽田 JAL576便 |
2.39 | 0.04 | 46 | 下り上りはPCにてグーグルの「インターネット速度テスト」で、PINGはスマホアプリ「SPEEDTEST」で計測。 |
2017年10月29日 関空 – 羽田 JAL228便 |
8.66 | 0.19 | 46 | 下り上りはPCにて「BNRスピードテスト」で、PINGはスマホアプリ「SPEEDTEST」で計測。 |
2017年11月9日 羽田 – 北九州 JAL371便 |
9.68 | 0.24 | 37 | 下り上りはPCにてグーグルの「インターネット速度テスト」で、PINGはスマホアプリ「SPEEDTEST」で計測。 |
2017年11月12日 北九州 – 羽田 JAL378便 |
11.6 | 0.19 | 43 | 〃 |
2017年12月10日 岡山 – 羽田 JAL242便 |
0.41 | 0.28 | 43 | 〃 |
空の上でも繋がる仕組みを説明
「飛行機でWi-Fiが使える」と、言葉だけで聞くと驚きはしませんが、よく考えてみるとどうやってインターネットに接続しているのか疑問が残ります。
というのも、旅客機は高度33,000フィート(約1万メートル)の上空を飛んでいるわけですから、(禁止されていますが)もしスマートフォンなどの携帯電話の電源をONにしても圏外でしょうし、地上にあるモバイル回線を拾うにしても、LTEやWiMAXは基地局から数km程度の範囲しか届きません。
有効エリアの基地局を自動で切り替える「ハンドオーバー」も、新幹線ならまだしも飛行機ほどのスピードだと恐らくは機能しません。
ではどうやってインターネットに接続しているのかというと、宇宙に打ち上げられている通信衛星を使っているんです。
Kuバンド(K-under)と呼ばれる12~18GHzの周波数の電波を、地上にある基地局から飛ばし、衛星を経由して飛行機の機体上部に取り付けられている機器で受信する仕組みです。
これらの機内インターネットプロバイダがアメリカのGogo社で、上の項目で接続の際に登録が必要だったわけです。
日本では多くの場合上記のような衛星を使った通信方式が使われていますが、アメリカではATG方式(Air-To-Ground)という、飛行機のルートに沿って設けられた地上の基地局から上空に向けて通信を行う方式がよく使われています。
日本では海の上を飛ぶルートがあるため、基地局の設置が出来ないのでこの方式が採られました。