レンチンは「電子レンジで食べ物を温める事」を意味する用語で、「レンジでチンする」の略です。
「チン」は電子レンジのタイマーの残り時間がゼロになった時に鳴る鐘(ベル)の音を表現しているので、温めが終わった事を指しています。

現在では販売している電子レンジのタイマー音のほとんどは「ピー」とか「ピピピピ」といったブザー音ですが、以前は業務用を除き家庭用の電子レンジはほぼ全て物理的に鐘を鳴らす方式の「チン」という音が鳴るものであったことから由来して出来た用語です。

以下のような使い方と表現があります。

  • それレンチンしておいて
  • レンチンで簡単に出来るよ
  • ご飯冷めちゃったからレンチンして食べてね
  • このパスタ、レンチンで作ったんだよ
  • レンチンでおいしく作れるレシピ教えて

電子レンジを使って温める事を「チンする」という表現はずっと以前から使われていましたが(下の項目で説明します)、レンチンという略語がいつ頃から使われだしたのかはっきりとした時期はわかりませんが、個人的には2000年前半頃には耳にした記憶があり、ネットで使われだしたのは遅くとも2004年には書き込まれていたのを確認しています。
その後、爆発的ではありませんがネット掲示板であったりレシピサイトなどで時々使われるようになり、少しずつですが書き込まれる頻度は上がっているよう実感しています。

また、死語になっているとはまだまだ言えませんが、以前ほど「レンジでチンする」「チンして」という言葉が使われなくなり「レンジする」「レンジする」という言い方の方が多くなっている印象がありましたが、そんな中「レンチン」は比較的新しい言葉のため、古い表現を避けたい場合にもレンチンが使えそうです。

ツイッターなどのSNSであったりテレビの料理番組や料理の雑誌などでも時々使われたりと、着々と知名度は上がっていますが、一般的に普及している言葉と言えるかといえば、まだまだそこまでではありませんので、レンチンを口にしても通じない事も多々あるかと思います。

それでは更に詳しくレンチンについて見ていきましょう。

レンチンの由来について

上でも言及しましたが、レンチンは「レンジでチン(する)」の略であり、2000年頃にはすでに使われていたようです。

ではそのレンチンの元となっている電子レンジで温める事を「チンする」という用語はというと、以前の電子レンジでよくみられた、温めが完了した時に鳴る「チン」という音がちなんで自然発生的に使われ始めたと考えられますが、こちらも明確な発祥時期は不明ではありますが、全国的に「チンする」がよく使われるようになったきっかけとして、フライドポテトのTVコマーシャルが挙げられます。

取扱店は少ないものの2019年現在でも販売されているMicro Magic(楽天)

1988年(昭和63年)、当時人気絶頂だったジャニーズ事務所所属のアイドルグループ「光GENJI」(ひかるげんじ)が出演していた、大塚食品の電子レンジで揚げたてた食感が味わえるという冷凍のフライドポテト「Micro Magic」(マイクロマジック)のテレビCMのセリフの中で「レンジでチンするチンチンポテト」という耳に残るこのフレーズが大きな話題となりました。

記事を書いているのが2019年なので、なんと遅くとも30年以上前には一般的によく知られた言葉として存在していたことになります。

長らく使われていたためなのか、語呂が悪いからなのかはわかりませんが、現在では「チン」というベルの音が鳴るレンジは電子音やビープ音の製品に置き換わり電気屋さんを見てもほとんど見かけない状態ではあるものの、「レンチン」や「チンする」という言葉に代わるような「ピーする」「ピピする」とか「レンピー」「レンピッ」という新たな用語が出来ずに今に至ります。

英語でレンチンは何て言う?

電子レンジのベルが鳴る…というような英語の表現や慣用句はありません。
そもそも「電子レンジ」は英語かと思われがちですが実は和製英語であり、英語では「microwave oven」(マイクロウェーブオーブン)または略して「microwave」といいます。

おそらくはガスコンロの意味である「gas range」(ガスレンジ)から由来して電子レンジと呼ばれるようになったのではないかと思いますが、「range」と言っても通じません。

英語でレンチンに近いのは「nuke it」が該当します(nukeの読みはヌークまたはニューク)。
あとは普通に電子レンジで温めるという意味で「Warming up Food in the Microwave.」のような表現になります。

なお、日本語でレンチンに近い言葉として「レンジアップ」という用語もありますが、もちろん「range up」では通じません。