「こごめ餅」は、もち米とうるち米を混ぜて作られた餅のことで、広く流通しているもち米100%で作られるものと比べ、粘りや伸びが少なく米の粒々した食感と米の香りがする等の違いがあります。

名称の由来についてはいくつかの説がありますが、食べ物が少なく貧しかった時代に割れたり小さくなったお米を混ぜて餅にしたことから「小米」(こごめ)餅になったようです。

同じようにもち米とうるち米をミックスして作られるお餅は全国にますが、それぞれの地方によって名称が異なります。
例えば大阪や京都など関西では「うる餅」や「うるう餅」、茨城県では「たがね餅」、愛知では「硬い」の方言である強(こわ)いから「こわ餅」といった呼び方があります(下の項目でまとめましたのでご覧下さい)。

また、地方で作り方(もち米とうるち米を混ぜる割合)にも違いがあり、そのまま普通の餅のように食べるだけでなく、青海苔であったり胡麻や黒豆などを混ぜて作られることもあります。

食べ方や取扱については普通のお餅と一緒です。
以下では見た目や味、地方ごとの呼び方など、さらに詳しくこごめ餅を見ていきましょう。

見た目や味について

餅とこごめ餅
餅(左側)と、こごめ餅(右側)

比較のために同じメーカーの普通のお餅も購入しました。
上の写真は左がもち米100%の餅、右がもち米とお米(うるち米)で作ったこごめ餅で、ともに山口県のスーパーで購入したものです。

見た目の比較
見た目の比較

袋から出してみると、こごめ餅は凸凹しているように見えます。
よく見るとお米の粒々した部分がよくわかりました。

焼いた餅(左)と、こごめ餅(右)
焼いた餅(左)と、こごめ餅(右)

焼いている途中にオーブンレンジを覗いてみると、普通のお餅はぷっくりと膨らんで割れていましたが、こごめ餅は丸くはなるもののそれほど膨らむ事はなく形を保っていました。

焼き上がる時間はほぼ一緒ですが、やや(数十秒程度)こごめ餅の方が焼くのに時間がかかりました。

つぶつぶ感のある中身
つぶつぶ感のある中身

中身はさらに違いがわかりました。
写真だとちょっとわかりづらいですが、奥に写っているなめらかな餅に対して手前のこごめ餅は明らかに粒があります。

きな粉をまぶした餅
きな粉をまぶした餅

食べてみましたが、餅はよく伸び柔らかいですが、こごめ餅はそれに比べるとほんの少しだけ硬めであまり伸びません。
味の違いについて、2つを食べ比べると明らかな風味、食感の違いがわかりますが、きな粉を付けて片方だけ出されても、意識してよく味合わないとどちらの餅なのかそのまま気づかずにいるのではないかと思います。

地方ごとの呼称の違いについて

上でも触れましたが、こごめ餅は地方ごとに呼び名が違います。
全国的にみてよくこごめ餅が食べられている地域についてまとめました。

同じ県内でも場所によっては異なる場合もありますので、目安としてご覧下さい。

地方 呼称
茨城 たがね餅(青のりなどを混ぜて作ります)
岐阜 こわ餅
愛知 こわ餅、ぼろ餅
富山 ごんだ餅
福井 こごめ餅
三重 やじろ、たがね餅
奈良 小米餅、どや餅
大阪 うる餅、うるう餅
京都 うる餅、うるう餅
広島 あらかね餅
山口 屈餅、こごめ餅
愛媛 おふく

もち米とうるち米の割合と作り方は?

まずはそれぞれの米をどれくらいの割合で使うのかというと、これは地方や家庭によっても異なるため一概には言えませんが、概ね下の表のようになります。

もち米 うるち米(普段食べているお米・白米です)
1 0.3~1

半々にする場合もあれば、3割程度にすることもあります。
うるち米の割合を多くすればするほど粘りは少なくなり、つぶつぶした食感と米の香りは強くなります。

もち米とうるち米の配合が決まったら、あとは普通のお餅と同じ手順です。

  1. もち米、うるち米を研いで(もち米は手早く)、それぞれ8時間ほど水に浸けておきます
  2. ザルにあげて30分~1時間程水を切っておきます
  3. セイロの下にはもち米、上をうるち米にして蒸します
  4. 撞いて餅にします