あいうえおの50音から、「あえいうえおあお」「あめんぼの歌」「早口言葉」「外郎売」まで、アナウンサーや声優など声を仕事にしている人たちも基礎練習として使っている、滑舌を良くしたり発音を良くするためのトレーニングに使えるものをまとめました。
いきなり良くする事は難しいですが、毎日もしくは1日おきにでもいいので定期的な練習が効果を高めてくれると思います。
なお、どうしても発音出来ない言葉や、言いづらい言葉、詰まってしまう言葉があった場合は、例えば「手術中」(しゅじゅつちゅう)であれば、『しゅずつ』まで言い、0.5秒位をあけて『ちゅう』という具合に、言いやすい箇所で分解して反復練習した後にそれらを続けて言うと、「手術中」と言えるようになりますのでお試しください。
他にも滑舌を鍛えるためのページを用意しましたので合わせてご覧下さい。
それではまずは50音からはじめてまみましょう。
50音と変則系
まずは基本である「あいうえお」から始まる50音と、変則系を足しさらに濁音と半濁点もあります。
一語一語口の形や動きを確認しながら言ってみましょう。
かきくけこ きくけこか くけこかき けこかきく こかきくけ
さしすせそ しすせそさ すせそさし せそさしす そさしすせ
たちつてと ちつてとた つてとたち てとたちつ とたちつて
なにぬねの にぬねのな ぬねのなに ねのなにぬ のなにぬね
はひふへほ ひふへほは ふへほはひ へほはひふ ほはひふへ
まみむめも みむめもま むめもまみ めもまみむ もまみむめ
やいゆえよ いゆえよや ゆえよやい えよやいゆ よやいゆえ
らりるれろ りるれろら るれろらり れろらりる ろらりるれ
わいうえを いうえをわ うえをわい えをわいう をわいうえ
がぎぐげご ぎぐげごが ぐげごがぎ げごがぎぐ ごがぎぐげ
ざじずぜぞ じずぜぞざ ずぜぞざじ ぜぞざじず ぞざじずぜ
だぢづでど ぢづでどだ づでどだぢ でどだぢづ どだぢづで
ばびぶべぼ びぶべぼば ぶべぼばび べぼばびぶ ぼばびぶべ
ぱぴぷぺぽ ぴぷぺぽぱ ぷぺぽぱぴ ぺぽぱぴぷ ぽぱぴぷぺ
あえいうえおあお
小学校でも発音の練習として授業で使われる「あえいうえおあお」の文章です。
はっきりと区切って、イメージ的には文字と文字の間に小さい「っ」を入れるイメージで「あ(っ) え(っ) い(っ) う(っ)・・・」とはっきり声に出すことで発生練習と滑舌を兼ねたトレーニングになります。
か け き く け こ か こ
さ せ し す せ そ さ そ
た て ち つ て と た と
な ね に ぬ ね の な の
は へ ひ ふ へ ほ は ほ
ま め み む め も ま も
や え い ゆ え よ や よ
ら れ り る れ ろ ら ろ
わ え い う え を わ を
が げ ぎ ぐ げ ご が ご
か゜け゜き゜く゜け゜こ゜か゜こ゜
ざ ぜ じ ず ぜ ぞ ざ ぞ
だ で ぢ づ で ど だ ど
ば べ び ぶ べ ぼ ば ぼ
ぱ ぺ ぴ ぷ ぺ ぽ ぱ ぽ
あめんぼの歌
「アメンボ赤いなあいうえお」で始まるこの有名な文章は「あめんぼの歌」「五十音の歌」などと呼ばれていますが、正式名は「五十音」と言います。
北原白秋が書いた詩で、1922年1月1日に発表されました。
50音が満遍なく配置されているため、滑舌や発音の練習として一般的に広く普及しており、アナウンサーや声優はじめ演劇などの世界でも発声練習や基礎トレーニングの定番として本当によく使われています。
早口で言うのではなく一語一語はっきりと発音してみましょう。
(あめんぼ あかいな あいうえお)
浮藻に小蝦もおよいでる。
(うきも に こえび も およいでる)
柿の木、栗の木。カ、キ、ク、ケ、コ。
(かきのき くりのき かきくけこ)
啄木鳥こつこつ、枯かれけやき。
(きつつき こつこつ かれけやき)
大角豆に醋をかけ、サ、シ、ス、セ、ソ。
(ささげに すをかけ さしすせそ)
その魚淺瀬で刺さしました。
(そのうお あさせで さしました)
立ちましよ、喇叭で、タ、チ、ツ、テ、ト。
(たちましょ らっぱで たちつてと)
トテトテタツタと飛び立つた。
(とてとて たったと とびたった)
蛞蝓のろのろ、ナ、ニ、ヌ、ネ、ノ。
(なめくじ のろのろ なにぬねの)
納戸なんどにぬめつて、なにねばる。
(なんどに ぬめって なにねばる)
鳩ぽつぽ、ほろほろ、ハ、ヒ、フ、ヘ、ホ。
(はとぽっぽ ほろほろ はひふへほ)
日向のお部屋にや笛を吹く。
(ひなたの おへやにゃ ふえをふく)
蝸牛、螺旋卷、マ、ミ、ム、メ、モ。
(まいまい ねじまき まみむめも)
梅の實落おちても見もしまい。
(うめのみ おちても みもしまい)
燒栗、ゆで栗。ヤ、イ、ユ、エ、ヨ。
(やきぐり ゆでくり やいゆえよ)
山田に灯のつく宵の家。
(やまだに ひのつく よいのいえ)
雷鳥は寒かろ、ラ、リ、ル、レ、ロ。
(らいちょうは さむかろ らりるれろ)
蓮花が咲さいたら、瑠璃の鳥。
(れんげがさいたら るりのとり)
わい、わい、わつしよい。ワ、ヰ、ウ、ヱ、ヲ。
(わいわい わっしょい わいうえを)
植木屋、井戸換へ、お祭りだ。
(うえきや いどがえ おまつりだ)
早口言葉や言いにくい語句
早口言葉や言いづらい言葉をまとめました。
噛みやすい言葉 | 読み方 |
---|---|
トリニダード・トバゴ | とりにだーど・とばご |
高速増殖炉もんじゅ | こうそくぞうしょくろもんじゅ |
老若男女 | ろうにゃくなんにょ |
マサチューセッツ州 | まさちゅーせっつしゅう |
万景峰号 | まんぎょんぼんごう |
六カ国協議 | ろっかこくきょうぎ |
今朝社食 | けさしゃしょく |
炙りカルビ | あぶりかるび |
国家戦略局 | こっかせんりゃくきょく |
新春シャンソンショー | しんしゅんしゃんそんしょー |
骨粗しょう症 | こつそしょうしょう |
摘出手術 | てきしゅつしゅじゅつ |
基本情報技術者試験 | きほんじょうほうぎじゅつしゃしけん |
貸借対照表 | たいしゃくたいしょうひょう |
きゃりーぱみゅぱみゅ | きゃりーぱみゅぱみゅ |
腹腔鏡手術 | ふくくうきょうしゅじゅつ |
低所得者層 | ていしょとくしゃそう |
偽札作り | にせさつづくり |
火星探査車 | かせいたんさしゃ |
ゴルバチョフ書記長 | ごるばちょふしょきちょう |
出場 | しゅつじょう |
白装束集団 | しろしょうぞくしゅうだん |
高架橋脚下 | こうかきょうきゃっか |
新春祝賀会 | しんしゅんしゅくがかい |
高所作業車 | こうしょさぎょうしゃ |
車窓清掃 | しゃそうせいそう |
栃乃洋関 | とちのなだぜき |
手術中 | しゅじゅつちゅう |
さらに他の言葉もまとめていますので、続きは以下のリンクをご覧ください。
外郎売(ういろううり)
「外郎売」(ういろううり)、こちらは一般的にはあまり知られていませんが、演劇学校やアナウンサー養成スクールなどで長文の発声練習として定番です。
歌舞伎の演目「若緑勢曾我」(わかみどりいきおいそが)での台詞の一節で、神奈川県小田原市で現在でも販売されている外郎(ういろう)、別名・透頂香(とうちんこう)についてよく効く薬だと語っています。
初出はなんと1718年です。
「ういろう」というと小田原の他、名古屋、京都、山口などでも有名な、あの弾力のある羊羹のような和菓子を想像しますが、小田原ではもともと全く別な粒状の「薬」の事を外郎と呼んでいました。
それでは急がずはっきりと読んでみましょう。
元朝より大晦日まで御手に入れまする此の薬は、昔、珍の国の唐人、外郎と云う人、我が朝へ来たり。
帝へ参内の折から此の薬を深く込め置き、用うる時は一粒ずつ冠の隙間より取り出だす。
依ってその名を帝より「透頂香」と賜る。
即ち文字には頂き・透く・香と書いて透頂香と申す。
只今では此の薬、殊の外、世上に広まり、方々に偽看板を出だし、イヤ小田原の、灰俵の、さん俵の、炭俵のと色々に申せども、平仮名を以って「ういろう」と記せしは親方圓斎ばかり。もしや御立会の内に、熱海か塔ノ沢へ湯治に御出でなさるるか、又は伊勢御参宮の折からは、必ず門違いなされまするな。
御上りなれば右の方、御下りなれば左側、八方が八つ棟、面が三つ棟、玉堂造、破風には菊に桐の薹の御紋を御赦免あって、系図正しき薬で御座る。
イヤ最前より家名の自慢ばかり申しても、御存知無い方には正真の胡椒の丸呑み、白河夜船、されば一粒食べ掛けて、その気味合いを御目に掛けましょう。先ず此の薬を斯様に一粒舌の上に乗せまして、腹内へ納めますると、イヤどうも言えぬわ、胃・心・肺・肝が健やかに成りて、薫風喉より来たり、口中微涼を生ずるが如し。魚・鳥・茸・麺類の食い合わせ、その他万病即効在る事神の如し。
さて此の薬、第一の奇妙には、舌の廻る事が銭ごまが裸足で逃げる。ヒョッと舌が廻り出すと矢も盾も堪らぬじゃ。
そりゃそりゃそらそりゃ、廻って来たわ、廻って来るわ。アワヤ喉、サタラナ舌にカ牙サ歯音、ハマの二つは唇の軽重。開合爽やかに、アカサタナハマヤラワ、オコソトノホモヨロヲ。一つへぎへぎに、へぎ干し・はじかみ、盆豆・盆米・盆牛蒡、摘蓼・摘豆・摘山椒、書写山の社僧正。
小米の生噛み、小米の生噛み、こん小米のこ生噛み。繻子・緋繻子、繻子・繻珍。
親も嘉兵衛、子も嘉兵衛、親嘉兵衛・子嘉兵衛、子嘉兵衛・親嘉兵衛。古栗の木の古切り口。雨合羽か番合羽か。貴様の脚絆も革脚絆、我等が脚絆も革脚絆。尻革袴のしっ綻びを、三針針長にちょと縫うて、縫うてちょとぶん出せ。河原撫子・野石竹、野良如来、野良如来、三野良如来に六野良如来。
一寸先の御小仏に御蹴躓きゃるな、細溝にどじょにょろり。京の生鱈、奈良生真名鰹、ちょと四五貫目。御茶立ちょ、茶立ちょ、ちゃっと立ちょ。茶立ちょ、青竹茶筅で御茶ちゃっと立ちゃ。来るわ来るわ何が来る、高野の山の御杮小僧、狸百匹、箸百膳、天目百杯、棒八百本。武具、馬具、武具馬具、三武具馬具、合わせて武具馬具、六武具馬具。
菊、栗、菊栗、三菊栗、合わせて菊栗、六菊栗。麦、塵、麦塵、三麦塵、合わせて麦塵、六麦塵。あの長押の長薙刀は誰が長薙刀ぞ。向こうの胡麻殻は荏の胡麻殻か真胡麻殻か、あれこそ本の真胡麻殻。がらぴぃがらぴぃ風車。起きゃがれ小法師、起きゃがれ小法師、昨夜も溢してまた溢した。
たぁぷぽぽ、たぁぷぽぽ、ちりからちりから、つったっぽ、たっぽたっぽ一干蛸。落ちたら煮て食お、煮ても焼いても食われぬ物は、五徳・鉄灸、金熊童子に、石熊・石持・虎熊・虎鱚。中でも東寺の羅生門には、茨木童子が腕栗五合掴んでおむしゃる、彼の頼光の膝元去らず。鮒・金柑・椎茸・定めて後段な、蕎麦切り・素麺、饂飩か愚鈍な小新発知。小棚の小下の小桶に小味噌が小有るぞ、小杓子小持って小掬って小寄こせ。
おっと合点だ、心得田圃の川崎・神奈川・程ヶ谷・戸塚は走って行けば、灸を擦り剥く三里ばかりか、藤沢・平塚・大磯がしや、小磯の宿を七つ起きして、早天早々、相州小田原、透頂香。隠れ御座らぬ貴賎群衆の、花の御江戸の花ういろう。
アレあの花を見て、御心を御和らぎやと言う、産子・這子に至るまで、此の外郎の御評判、御存じ無いとは申されまいまいつぶり、角出せ棒出せぼうぼう眉に、臼杵擂鉢ばちばち桑原桑原桑原と、羽目を外して今日御出での何茂様に、上げねばならぬ、売らねばならぬと、息せい引っ張り、東方世界の薬の元締、薬師如来も照覧あれと、ホホ敬って外郎はいらっしゃりませぬか。