1992年(平成4年)の日本新語・流行語大賞です。
1984年から開始され、この年は第9回に当たります。

前年・翌年と、すべての年の流行語についてはこちらをご覧ください。

2年前の「1990年の流行語」では『バブル経済』が流行語部門の銀賞になっていて、この年1992年は『複合不況』が表現部門の金賞に、同銅賞には『謝長悔長』と、バブルがはじけ景気後退が伺えるワードが入ってます。

あと目にとまったのは年間大賞の『きんさんぎんさん』や流行語部門の金賞『冬彦さん』です。子供の頃にテレビに限らず学校などでもよく耳にした記憶があります。

公式サイトの発表はこちら「1992年の日本新語・流行語大賞」です。

1992年の日本新語・流行語大賞

1992 年間大賞

きんさん・ぎんさん 前年1991年に数え年で100歳になった長寿の双子姉妹、成田きんさんと蟹江ぎんさんの「きんさんぎんさん」がダスキンのテレビCMに出演し『きんは100歳100歳、ぎんも100歳100歳。ダスキン呼ぶなら100番100番。』の台詞で一躍全国的に知られるようになり「国民的アイドル」ともいえる人気に。
「通販生活」や「ニッポン放送」のCMも出演しておりこちらも話題に。「金」と「銀」で縁起のいい名前や絶妙な二人の会話などが好感され、行動や発言はニュースやバラエティ番組など様々なメディアで連日のように報道される状態に。
なおこの年の流行語の語録賞「うれしいような、かなしいような」「はだかのおつきあい」の2つもきんさんぎんさんの言葉であり、この年のブレイクぶりが伺える受賞となっています。
翌年1993年には第44回NHK紅白歌合戦に応援ゲストとして出演しました。
受賞者は成田きんと蟹江ぎんさんの両名。

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1992 語録賞

うれしいような、かなしいような 年間大賞である「きんさん・ぎんさん」がダスキンのテレビCMで言う台詞。向かい合った二人が100歳になった事を『うれしいような、かなしいような』と言います。
素直な感想とこのかけひきが受け受賞。受賞者は成田きんと蟹江ぎんさんの両名。
はだかのおつきあい きんさんぎんさんが報道陣から貴花田(後の貴乃花)さんと宮沢りえさんの電撃的な婚約の感想を聞かれ答えた言葉。マスコミも視聴者も思わぬ一言に沸きました。受賞者は成田きんと蟹江ぎんさんの両名。

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1992 新語部門

金賞
ほめ殺し 「恩人を裏切る華麗な“芸”を持つ竹下さん」「日本一金儲けのうまい竹下さんを総理にしましょう」のように、褒め称えているようで非難や中傷や嫌がらせをする事。
本来の意味は、成長の過程などにおいて褒める事でその人をダメにしてしまう事を言う言葉でしたが、この年は政治の世界でこの言葉が飛び交いました。
「東京佐川急便事件」(皇民党事件)の公判中に明らかになった内容で、竹下登さんが田中角栄さんを裏切ったことが原因で右翼団体の日本皇民党から執拗なほめ殺しを受けます(裏切りの内容については1985年の流行語でもある「角抜き」にを参照下さい)。
これをサンデー毎日が「ほめ殺し」と報道し広く使われるようになったようです。
なお、マスコミが使い出す前はハマコーの愛称で知られる政治家の浜田幸一さんが使い政治家の間で広まったとの話もあります。
受賞者はサンデー毎日編集部員の小林泰一郎さん。
銀賞
カード破産 グルメに遊びにファッションに使ったクレジットカードの返済がバブル崩壊とともに重くのしかかることに。
多くの消費者が影響を受け、自己破産しか選択がない人たちが急増。「カードによる自己破産」から「カード破産」に。
受賞者はカード破産という造語を生み出し、被害者救済に動いた弁護士の宇都宮健児さん。
銅賞
もつ鍋 牛・豚・鶏の内臓「もつ」をニラやキャベツ等の野菜とともに煮込む料理、あの「もつ鍋」(ホルモン鍋)がこの年大ブームに。
当時は主に福岡県福岡市で郷土料理として食べられていたもつ鍋が、東京に出店しブームに乗って店舗が急増しました。
受賞者は銀座にもつ鍋「元気」をオープンしブームのきっかけを作ったとされる店主の井上修一さん。

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1992 表現部門

金賞
複合不況 日本のバブル崩壊の要因や現在の状態を鋭く指摘した経済学者・宮崎義一さんの著書「複合不況」がベストセラーとなり、マスコミでもこの言葉が頻繁に使われる事になったことから。
受賞者は「複合不況 – ポスト・バブルの処方箋を求めて」著者の宮崎義一さん。
銀賞
9K 労働環境や作業が「きつい」「汚い」「危険」である職場の事を、アルファベットにして頭文字をとり「3K」と言いますが、看護婦(当時の呼称)はさらに「休暇がとれない」「規則がきびしい」「化粧がのらない」「薬に頼って生きている」「婚期が遅い」「給料が安い」が加わった『9K』であるとの主張が話題に。
受賞者は労働組合を中心とした団体が行う、ナースの労働環境を改善するための取り組み「ナースウェーブ行動」の当時代表・江尻尚子さん。
銅賞
謝長悔長 バブル経済崩壊によりそれまでうまくいっていた会社の経営が立ち行かなくなったり、不祥事などの発覚などにより経営陣(社長や会長)がテレビカメラや新聞記者などマスコミの前で頭を下げる光景が日常化するようになりました。
それを謝長悔長(しゃちょうかいちょう)、謝る社長・後悔しきりの会長という意味を込めて表現した言葉。
住友生命が1990年から募集している「創作四字熟語」で発表された用語。
受賞者はこの作品を応募した主婦・浦上由子さん。

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1992 流行語部門

金賞
冬彦さん 1992年7月3日から9月25日まで毎週金曜日22:00からTBS系列で放送されていたTVドラマ「ずっとあなたが好きだった」で登場する桂田冬彦(冬彦さん)のキャラが話題に。
マザコンで歪んだ愛情を賀来千香子さん演じる桂田美和(旧姓・西田)へぶつける冬彦さんの言動や行動が不気味で、「冬彦さん現象」とも呼ばれるブームになります。
特に唇を歪めて「うんんん~」と唸り声を上げるシーンは強烈なインパクトを残しました。
受賞者は冬彦さんを演じた俳優の佐野史郎さんと、その母親を演じた女優の野際陽子さん。
銀賞
「ねェ、チューして」 コーセーの化粧品「ルシェリ」のテレビCMでの台詞。
男性(唐沢寿明さん)と女性(水野美紀さん)が寄り添っていて、女性が「ねえ、チューして」と迫る内容。ドキッっとさせられるこのフレーズが話題に。
なお翌年1993年のCMでは瀬戸朝香さんが起用されました。
受賞者は俳優の唐沢寿明さん。
銅賞
上申書 当時、自民党副総裁だった金丸信さんに5億円の不法献金があったとされる「東京佐川急便事件」で、東京地方検察庁特別捜査部が金丸さんに対し事情聴取のため出頭を求めますがこれに応じませんでしたが、政治資金規正法違反を認める上申書を提出したため検察庁は事情聴取を行わず略式起訴という特別扱いを行いました。
この違法な状態が許されるならと、三重県の建設会社社長が建築基準法違反の出頭命令に対し「上申書」を提出し、法の下の平等を実践したと話題に。
受賞者は上申書を提出した建設会社社長の小林正さん。

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1992 大衆語部門

金賞
宇宙授業 宇宙飛行士の毛利衛さんが、9月12日からスペースシャトル「エンデバー」に搭乗科学技術者として搭乗。
飛行中に毛利さんは北海道の母校である黒川小学校の子供たちと交信を行い、素朴な疑問を投げかける子供たちとそれに応える毛利さん。その光景は「宇宙授業」と称され話題に。
受賞者は毛利衛さん。
銀賞
歌手の小金沢クン 小金沢昇司さん本人出演の、のど用治療薬「フィニッシュコーワ」のテレビCMで流れるナレーション『歌手の小金沢君が使っているのはフィニッシュコーワ』のフレーズで一躍有名に。
マイクの前でのどの調子が悪そうな「小金沢くん」が、この商品を使って調子が良くなるという内容。全くの無名で普通の若者にも関わらず普通に紹介されていたため「誰なんだ」という話題から広まりました。
有名になった後、他の番組に出演する際は「歌手の小金沢君」と紹介される場面が多々見られました。
また当時としたはCM内で実名を使ってのプロモーションが珍しかった背景もあります。
受賞者はご本人の小金沢昇司さん。
銅賞
ツインピークス 1990年から1991年にアメリカで放送されたテレビドラマで、ワシントン州にあるとされる架空の田舎町「ツインピークス」で起きた17歳の少女「ローラ・パーマー」の殺人事件を主軸に、人間関係や社会問題、宗教、など幅広いストーリーが描かれています。
日本ではWOWOWが1991年4月(WOWOW開局もこの月)から放送を開始し、撮影場所であるワシントン州スノクァルミーを巡るツアーも企画されるなどの人気に。
1992年には映画「ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間」も公開されました。
受賞者はツインピークス・ファンクラブ。

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1992 特別語部門

特別賞
「Time for change」 1992年米大統領選期間中のビル・クリントンさんの発言から。意味は「変革の時」。
選挙では同氏が勝利し、1993年1月20日アメリカ合衆国大統領に就任。
受賞者はアメリカ合衆国大使館。

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