「押し麦」と「もち麦」の違いを、見た目や特徴・製造方法・栄養などの面から解説します。
非常に長い説明になっているので、簡単に要点をまとめると以下のとおりです。

  1. 同じ大麦ですが「押し麦」はうるち性、「もち麦」はもち性の特性を持った品種です。
  2. 押し麦は完全に外皮を取り除き、名前の通りローラーで押し潰して平たく加工したもの。押し麦は平たくせず少し外皮を残した商品が多い。
  3. もち麦の方がβグルカンという食物繊維がやや多く含まれている。


さらに詳しく見ていきます、まずはそれぞれの写真と説明です。

押し麦
押し麦
写真は「はくばくの押麦

うるち性の大麦を精麦(外皮を取り除く加工、米でいう精米です)して、蒸気で加熱しやわらかくしたところをローラーで平たくしたのが押し麦です。
なぜわざわざ加工してこのように平たい形にするのかというと、そのままの形だとなかなか水を吸わず料理で扱いにくいからです。

例えば平たくしない状態で白米と一緒に炊いた時、米だけ炊けて麦がまだ硬いままですが、このように水を吸いやすい形にする事で米と一緒の時間で炊ける工夫がされています。

さらに詳しい内容はこちら「押し麦とは?」をご覧ください。

もち麦
もち麦
写真は「はくばくのもち麦ごはん

もち性の大麦を精麦したもので、押し麦のように「押す」工程はありません。
歯ごたえや食感を生かすため、精麦の度合いが各メーカー独自の調整がされており、写真のはくばくの押し麦はわずかに外皮を残す加工なのでプチプチ感はやや少なめで、モチモチの食感です。

こちらは外皮を多く残した加工のもち麦。
外皮付きもち麦
写真は「ベストアメニティのもち麦

はくばくのもち麦とは見た目が全然違います。
外皮をほとんど残した商品で、こちらはプチプチモチモチの食感ではなくゴワゴワしてました。
このようにメーカーごとに精麦具合に大きな違いがあります。

写真でもわかりますが、成熟したもち麦の穂や粒の外皮は紫に色づくのも大きな特徴です。

さらに詳しい内容はこちら「もち麦とは?」をご覧ください。

上記した内容と重なりますが、両方とも同じ大麦(裸麦)です。
押し麦に使われているのはうるち性の麦で弾力がありもっちり感は少なめなのに対して、もち麦はもち性なのでモチモチした食感が特徴です。
米にも「もち米」があるように麦にもこのような品種の違いが存在しているわけです。

この違いはでんぷん(グルコース)にあり、押し麦に使われる品種は「アミロース」と「アミロペクチン」の2種ですが、もち麦は「アミロペクチン」の1種で構成されています。

栄養成分を見ると違いがありますが、外皮を残してあるもち麦と、完全に取り除いた押し麦では当然違いが出ます。
同じ精麦具合であれば、両者にそれほどの栄養の違いはないようですが、もち麦の方がβ-グルカン(ベータクルカン)という食物繊維を多く含んでおり、これがテレビや雑誌などに取り上げられてダイエットにいい食品として話題になっています。